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 今、アメリカでは違法薬物の摘発が相次いでいる。背景には麻薬撲滅を目指す当局による「アポロ作戦」と、大統領選挙の激戦州における深刻な事情があった。

■「アポロ作戦」で多くの密輸事件摘発

スイカ模様の紙に包まれた覚醒剤 この記事の写真

 今月16日、メキシコからアメリカに向かっていた1台のトラックが、国境で摘発された。

 運転していたのは、29歳の男。運んでいたのは大量のスイカに紛れ込ませた、スイカ模様の紙に包まれた覚醒剤だった。

 スイカに見せかけた包み、1220個からおよそ2トンの覚醒剤を押収。末端価格は日本円にして、7億2000万円以上だという。

CBP トロイ・ミラー局長代行

 今回の摘発についてCBP(アメリカ税関・国境警備局)は、これまで続けてきた「アポロ作戦」の成果だと強調した。

CBP トロイ・ミラー局長代行
「南カリフォルニアのフェンタニル(合成麻薬)対策共同作戦である、『アポロ作戦』を開始します」

 去年10月、年々巧妙化する麻薬カルテルの密輸を阻止するため、情報共有の強化などを掲げカリフォルニア州南部で始まり、4月にはアリゾナ州にも拡大したアポロ作戦。

トロイ・ミラー局長代行
「国境、港湾、国際空港、そして海上において、密輸阻止から諜報(ちょうほう)活動まで適切な能力を持っています」 多くの密輸事件が摘発された

 このアポロ作戦により、多くの密輸事件が摘発されている。

 5月に、カボチャに紛れ込ませた覚醒剤、およそ5トン。車のマフラーに詰め込まれていたフェンタニルなどの合成麻薬、およそ7キロ。さらに今月には、セロリの積み荷に隠された覚醒剤、およそ280キロを押収した。

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■フェンタニル過剰摂取問題 大統領選挙での争点に

■フェンタニル過剰摂取問題 大統領選挙での争点に

アメリカの大統領選挙で争点に

 医療用麻薬フェンタニルの過剰摂取問題が、アメリカの大統領選挙で争点になっている。

 ブルームバーグが行った調査では、11月の大統領選挙での争点としてフェンタニル過剰摂取問題が「非常に重要」、あるいは「ある程度重要」と答えた人が、大統領選でカギを握ると言われている激戦州7州で、実に80%を超えているということだ。

トランプ前大統領も言及

 アメリカメディアによると、トランプ前大統領もこの問題について言及しているようだ。

 トランプ前大統領は「大統領に返り咲いたら麻薬カルテルをテロ組織に指定し、構成員らに死刑の適用を求めると主張。また、フェンタニルを連邦政府の規制物質として永久指定する。フェンタニルの化学原料の輸出をしているとされる中国に対して、輸出停止の努力をしなければ『高額な代償』を科す」などしているという。

ハリス副大統領の取り組み

 一方のハリス副大統領は、政権担当者の一員として5月、バイデン大統領と共に危機への対策資金として15億ドル以上を承認すると発表。

 去年7月にはホワイトハウスに全米の州司法長官を集め、フェンタニルと違法薬物について議論を交わしたということで、この問題への取り組みが注目されている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年8月28日放送分より)

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