米IT大手「メタ」のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者=2024年7月29日、AP

 米IT大手メタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は26日付の米連邦議会あての書簡で、バイデン政権高官が2021年に新型コロナウイルスに関する情報の検閲を求めて「繰り返し圧力をかけてきた」と明らかにした。「政府の圧力は間違っており、これまで率直に(対外的に)話してこなかったことを後悔している」とも説明した。

 共和党は11月の大統領選に向けて、民主党政権が進める偽情報対策などに関して「インターネット上で表現の自由を奪う狙いがある」と主張しており、今回のザッカーバーグ氏の見解を選挙でのアピール材料に利用する構えだ。

 書簡の内容は下院司法委員会あてで、下院多数派の共和党が公表した。ザッカーバーグ氏は圧力をかけたのは「ホワイトハウスを含むバイデン政権の高官だ」と説明。「ユーモアや風刺を含む新型コロナ関連の一部コンテンツの検閲」が要求されたという。投稿削除などの対応はメタ側が主体的に判断したが、要求に応じないと政府側は「大きな不満」を表明した。

 一方、書簡では20年大統領選を巡って、連邦捜査局(FBI)が民主党候補だったバイデン氏(現大統領)の家族を巡るロシアの情報工作の可能性を事前にメタ側に警告していたことにも言及した。

 選挙直前に米紙ニューヨーク・ポストが、ウクライナの天然ガス会社とバイデン氏の次男ハンター氏の癒着疑惑を報じた際、メタはロシアの情報工作の可能性があると判断して一時的に関連情報の投稿を制限したが、報道はロシアによる情報工作ではなかった。ザッカーバーグ氏は「今後は事実確認を待つ間、情報を制限することはしない」と述べた。

 また、ザッカーバーグ氏は、11月の大統領選に向けて、前回行った自治体の選挙施行体制を支援する活動を行わない方針も説明した。共和党のトランプ前大統領らが「支援が民主党の地盤が強い地域に偏っており、民主党を支援する活動だ」と批判していたのに配慮した。【ワシントン秋山信一】

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