ロシア軍のミサイル、ドローン攻撃で、ウクライナの首都キーウの地下鉄駅に避難する市民ら=26日、ロイター

 ウクライナ国内のエネルギー関連施設が26日、ロシア軍のミサイルや無人機(ドローン)による大規模攻撃を受けた。計15州の変電所などが破壊され、少なくとも7人が死亡、47人が負傷した。ウクライナの電力会社などが復旧作業を急いでいるが、一部地域では緊急停電などが実施されている。ウクライナ空軍は、2022年2月のロシアによる侵攻開始以来、「最大規模」の攻撃としている。

 ウクライナ政府によると、ロシア軍は26日未明から朝にかけ、巡航ミサイル、弾道ミサイル計127発、ドローン109機を用いて攻撃、ウクライナ軍はミサイル102発、ドローン99機を撃墜したという。

 被害は全24州中、西部リウネ、リビウ、南部ザポロジエ、オデッサ、中部ジトーミルなど少なくとも15州におよび、変電所やガス輸送施設などのインフラ施設が破壊された。首都キーウ(キエフ)では水力発電所で火災が起きるなどの被害が出た。キーウの当局は一時、住民に防空シェルターへの避難を命じた。

 現地報道によると、人口約25万人の中部ジトーミル市では、攻撃を受けた後、電力、水道の供給を緊急停止した。また全国各地で、電力供給が制限された。

 一方、ポーランド当局は26日、何らかの飛行体がポーランド空域に侵入したのを確認し、同国領内に落下した可能性があると発表した。飛行経路や速度からミサイルとは考えにくく、ドローンとみられる。

 ロシア国防省は26日、長距離精密誘導兵器とドローンを使用し、ウクライナの主要なエネルギーインフラ施設を狙った攻撃を実施したと発表した。

 ウクライナのクレバ外相は26日、X(ツイッター)に「ロシアの攻撃は強く非難されるべきで、国際社会には具体的行動が求められる」と投稿。西側諸国がウクライナに供給した長距離ミサイルなどの使用制限解除や、ロシアのミサイルなどに対する近隣の支援国からの迎撃を求めた。

 一方、ロシア国防省は26日、南部サラトフ州などでウクライナのドローン22機を撃墜したと発表した。ウクライナによる攻撃で、同州などで民間の建物が被害を受け、4人が負傷したとしている。【ブリュッセル宮川裕章】

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