ロシアとも仲良しでも訪問を断れないほどインドは大きくなった(8月24日、左がモディ、右がゼレンスキー、キーウ) EYEPRESS via Reuters Connect

<7月にロシアを訪問したばかりのモディが、今度は「敵」側のポーランドとウクライナを訪問。インドが言う「中立」は何を目指しているのか>

インドのナレンドラ・モディ首相はこのほど、ポーランドのドナルド・トゥスク首相と首脳会談を行い、両国の関係を強化し「戦略的パートナーシップ」へと格上げすることで合意した。

モディは21日から22日にかけ、インドの首相としては45年ぶりにポーランドを訪問。また23日にはインドの首相としては1992年の国交樹立後初めてウクライナを訪問した。

ロシアによるウクライナ侵攻が2022年に始まって以降、 ポーランドはNATOの東の防衛のかなめとなっている。ロイター通信によれば、ポーランドは2014年以降、兵力を2倍に増やしており、今年の国防費はGDP比で4%(NATO加盟国平均の2%の2倍)に達するという。

ウクライナ侵攻が始まって以降、ロシアを警戒するポーランドはウクライナに対し、旧ソ連製のミグ29戦闘機や改良型のT72戦車などを含む武器を積極的に供与しており、その額は40億ドルを超える。

一方でインドは、西側とロシアの間で中立的な立場を取っている。インドにとってロシアは、武器と原油の最大の供給国だからだ。

モディとトゥスクは22日の首脳会談後、共同声明を出し、インドとポーランドの外交関係は今年、70周年を迎えたと述べた。

「ウクライナでの戦争への深い懸念」

「両首脳は両国関係の持つ可能性を最大限に実現するために、インドとポーランドの関係を『戦略的パートナーシップ』に格上げすることを決断した」と共同声明には書かれている。

また、モディとトゥスクは貿易や投資関係の拡大、そして「双方にとって利益となる協力分野」を探していくことで合意した。

両首脳はまた、「恐ろしく悲劇的な人道的な事態」を引き起こしている「ウクライナ戦争に非常に深い懸念」を表明した。そしてこの戦争が世界、特に途上国におけるエネルギー安保や食糧安保にマイナスの影響を与えていると指摘した。

両首脳は、いかなる国の主権に対しても武力による威嚇または武力の行使をしてはならないとする国連憲章に沿った、恒久的な和平の必要性を訴えた。

ロシアとウクライナの戦争が始まって2年半、戦線は移動しつつある。今月、ウクライナは突然、国境を越えてロシア西部のクルスク州に侵攻し、ロシア軍をあわてさせた。一方でウクライナ東部ではロシア軍が進軍を続けている。

モディは7月にロシアを訪問、ウラジーミル・プーチン大統領と会談した。モディはプーチンとの関係をウクライナから非難されたが、プーチンに対しては、戦争は「戦場では解決しない」と苦言を呈した。

ニューヨーク市立大学シティーカレッジのラジャン・メノン名誉教授(政治学)は、インドとウクライナの間には「利害の一致」があると考える。

「モディの下でインドは、世界のリーダーの役割を手にしようと望んでいるから、ウクライナでの戦争が続く限り、外交面ではできるだけ柔軟に動ける状態を維持したいと考えるだろう。おそらくは最終的な和平で(大きな)役割を果たすために」とメノンは言う。

「ウクライナはウクライナで、グローバルサウス(途上国の大半が位置する南半球)からの支持をさらに増やす必要がある。そしてインドはグローバルサウスに対して大きな影響力を持っている」

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