8月15日、ウクライナによるロシア西部クルスク州への越境攻撃を巡り、米国製武器の使用を防衛目的に制限している米政府から懸念する声が浮上しつつある。写真は戦車に乗るウクライナ兵。14日、ロシア国境で撮影(2024年 ロイター/Viacheslav Ratynskyi)

ウクライナによるロシア西部クルスク州への越境攻撃を巡り、米国製武器の使用を防衛目的に制限している米政府から懸念する声が浮上しつつある。ウクライナ軍がさらにロシア領の奥深くまで進んだ場合、そうした制限の実効性が揺らいでしまうためだ。


 

ウクライナ軍は攻撃開始からこれまでにロシア国境から35キロ前進。同国政府はロシアの土地を占領する意図はなく、ロシア軍からの攻撃から国境を守るための緩衝地帯を設定していると主張している。

しかし米政府高官の1人は「彼らが何らかの条件を設けずロシア領を進めば進むほど、米国の政策は難しくなる」と述べた。

この高官は、ウクライナ軍が米国製の武器や車両でロシアの集落や非軍事目標を奪取し始めれば、その行動は米政府が課している制限の範囲内かどうかという疑問が生じかねないとの見方を示した。

別の米政府高官は、米政府の武器供与政策はウクライナがロシアに侵攻する事態を想定していないが、ウクライナは防衛目的という建前は守っていると説明。その結果としてバイデン政権はこの越境攻撃に強い支持も反対も表明していないと付け加えた。

米国防総省は先週、ウクライナは米政策の対象範囲からの攻撃から自国を守るための行動をしていると述べた。

バイデン政権が定めたウクライナの防衛目的での武器使用許可という基準は当初に比べて次第に緩んできているものの、まだロシア領内の「長距離攻撃」に使う武器の供与は控えられている。

カービー米大統領補佐官はMSMBCで「ウクライナが国境内への侵略から自衛することに専念してほしいというわれわれの要望は非常に明白で、一貫している」と語り、差し迫った脅威に直面している場合以外はウクライナによるロシア領への攻撃を後押ししないし、認めないと強調した。



[ロイター]


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