イスラエル軍の空爆を受けたガザのマガジ難民キャンプ(8月14日) REUTERS/Ramadan Abed

イスラエルのガザへの空爆とそれに対する非難は続いているが、それでも支援はやめられないアメリカ外交の矛盾

米国は8月13日、イスラエルに対する200億ドル(約3兆円)を超える兵器売却を承認した。

アントニー・ブリンケン米国務長官が売却を承認した、とロイター通信が報じた。この契約には、F15戦闘機と3万3000発近い戦車用砲弾が含まれるという。

AP通信によると、売却については、国務省の公式発表に先立って、米国議会に通知が行われた。売却対象となるのは、F15戦闘機を50機超、発展型中距離空対空ミサイル(AMRAAM)、120ミリの戦車用弾薬および迫撃砲弾、軍用車両などだ。

国務省は、売却に関する声明のなかで、「米国は、イスラエルの安全保障にコミットしている。強力かつ即応性のある自衛能力の開発と維持に関してイスラエルを支援することは、米国の国益にとって不可欠だ」と述べている。「今回の売却計画は、それらの目的に合致する」

しかし、これらの兵器がすぐにイスラエルに届くことはないだろう。契約の履行には数年かかるとみられ、F15戦闘機の納入開始は2029年になる見通しだと、AP通信は報じている。

現役F15の改修キットも

契約にはさらに、イスラエルが既存のF15戦闘機20数機を新しいエンジンやレーダーなどで改修するためのアップグレードキットの供給なども含まれる。200億ドルの売却総額の中で最も大きな部分は、F15戦闘機関連だ。

本誌は、国務省にメールでコメントを求めている。

イスラエル当局は、ガザでの戦争の発端となった2023年10月7日のハマスによる越境攻撃で、イスラエル側で約1200人が死亡したと推定している。また約240人が人質となり、そのうちの約半数は現在もハマスに拘束されている。イスラエルはまた、その後のガザでの地上戦で320人以上のイスラエル国防軍兵士が死亡したと明らかにしている。

一方、ガザを拠点とするパレスチナ保健省の集計によると、開戦以来、同地区では3万9600人以上が死亡、9万2000人以上が負傷している。

ジョー・バイデン米政権は、停戦を求める一方で、同盟国イスラエルを支持する姿勢を堅持している。この戦争に対する抗議活動が米国各地で広がっているにもかかわらず、だ。

しかし、ガザにおける民間人の犠牲が増えるにつれ、バイデン政権に対しては、議員と国民の両方から、イスラエルへの軍事支援を再考するよう求める圧力が高まっている。

なお、バイデン政権は2024年5月、ガザの人口密集地域で空爆が続いていることを理由に、イスラエルへの2000ポンド爆弾の輸送を一時停止することを決定した、とAP通信は報じている。
(翻訳:ガリレオ)

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