ホームレス急増で治安悪化の懸念が(ニューヨーク) SHANNON STAPLETONーREUTERS

<米大統領選を左右するほどの大問題になっているホームレスの増加だが、東海岸と西海岸でその原因は全く異なっている>

アメリカはコロナ禍後の治安悪化に苦しんでいるが、なかでもホームレスの増加は大統領選を左右するほどの政治課題になっている。特に深刻なのが東海岸のニューヨークと、西海岸のロサンゼルス、サンフランシスコだが、その原因は地域によって違いがある。

ニューヨークの場合は、コロナ禍中に刑務所でクラスターが発生し、多くの受刑者が仮釈放されてホームレス化した。冬の寒さをしのぐために地下鉄の構内や車内に寝泊まりする者が多く、地下鉄の治安が極端に悪化。その対策には州兵まで駆り出されるほどだ。

また、南部諸州から大量に送り込まれる難民申請者をシェルターに入居させたため、もとから管理を嫌がっていた昔からのシェルター入居者がこれを機に路上に逃げ出したりもした。

それとは全く異なるのが西海岸のホームレス事情だ。まず、テキサス州など保守的な自治体が治安優先でホームレスを追放し、バスに乗せて、人権意識が高いとされるカリフォルニア州に勝手に移動させた。

これに加えて、西海岸ではIT経済が過熱したために不動産が高騰。仕事はあっても家賃を払えない人が急増した。仮設住宅から役所や企業に通勤するという「定職のあるホームレス」も出現している。

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