パナマのダリエン県、ラハス・ブランカスにある移民ステーションに到着した人々(2024年6月28日) Reuters/Aris Martinez
<中南米からアメリカを目指す移民の通り道、ダリエン地峡に「壁」を建設する意向のムリノ大統領は、なぜトランプ前大統領の「返り咲き」に期待するのか──>
中米パナマのホセ・ラウル・ムリノ新大統領は、ダリエン地峽を封鎖する壁を建設する意向を示している。コロンビアとの国境付近に広がるこの地峽は、中南米からアメリカへ向かう移民の通り道となっているジャングル地帯だ。
「アメリカの国境はテキサスからパナマに移動した」とムリノは述べ、移民を狙った強盗や暴行事件を減らすためには、移民の流入を緊急に抑える必要があるとしている。
昨年だけで50万人以上の移民(そのうち11万人余りは子供)がこの危険な地域を通過し、2019年の2万4000人から急増している。国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは報告書で、移民がしばしば性的暴行の対象になっていると指摘した。
最近ムリノは、ドナルド・トランプ前米大統領が返り咲いたら壁建設への支援を求めたいと語った。しかし地峡を完全に封鎖するのはまず不可能で、移民をさらに危険なルートへと追い込みかねない。
ダリエン地峡の沼地のジャングルは、コロンビアとパナマの国境にまたがり、南北約160キロ。ベネズエラやキューバなど中南米諸国からだけでなく、遠くアフリカやアジアからアメリカに向かう主要ルートにもなっている。
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