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<パリ五輪期間中、猫がテレビの前に陣取って体操選手の動きを楽しむ動画がネット上で話題に。しかも1つや2つではない。なぜ猫たちは「体操競技」に夢中になるのか──その理由を専門家に聞いた>

連日盛り上がりを見せているパリ五輪。開幕から最初の1週間、花形競技の一つである女子体操でシモーネ・バイルズ選手をはじめとする米代表チームが次々とメダルを獲得した。

【動画】女子体操を見て「ハンター化」するネコたち

その活躍に世界中の人が魅了された。だが彼女たちの見事な演技に夢中になったのは、体操ファンだけではなかったようだ。

体操競技が始まって以降、インターネット上にはテレビ画面に釘付けになっているネコたちの動画がいくつも投稿された。

動画の中のネコたちは女子団体で金メダルを獲得した米代表チームの全ての競技の演技に「全集中」して見入っている。なかには画面を前脚でそっと(あるいは激しく)引っ掻く仕草を見せる猫もいた。

TikTokユーザーの@goosecommasillyは、「グース」という名の白い猫の動画を共有。動画の中でグースはテレビ台の上に座って、バイルズの平均台の演技に見入っている。

グースは驚きのあまり目を見開きながらバイルズの一挙手一等足をじっと見つめ、その後ほかの選手たちが回転や宙返りをすると前脚でテレビ画面を触り始めた。

ほかの複数の動画にも、選手たちが段違い平行棒の演技で宙返りをしたり床の演技でひねりや回転をしたりするたびに、ネコたちがその動きに合わせて動く様子が映っている。

狩猟本能がかき立てられる

ネコたちはなぜ、このような行動を取るのか。ネコの行動学の専門家であるレイチェル・ゲラー博士が本誌に語ったところによれば、その理由はきわめて単純で、体操選手たちの動きがネコの「獲物」の動きに似ているからだという。「ネコは動きに非常に敏感だ」とゲラーは述べた。

生まれながらのハンターであるネコは、常に獲物を追うスリルを求めている。とりわけ予測不可能な動きを見ると、本能的に獲物を追う衝動が駆り立てられるのだ。

ゲラーの説明によれば、獲物はハンターであるネコを欺くために時折動きを止めたり死んだふりをしたりすることがある。体操選手はネコにとって獲物ではないが、選手たちの「突発的な動き」がネコの狩猟本能を引き出すようだ。

たとえば選手たちは、床の演技では信じられないほどの高さまで跳び上がってからぴたりと着地し、一旦止まってリセットした後にまた回転する。このように静止と激しい動きを繰り返すところが獲物の動きによく似ているのだ。段違い平行棒の演技にも同じことが当てはまる。

「段違い平行棒の演技では、選手たちはさまざまな動きをした後に棒の間を移動して倒立をしたりする」とゲラーは指摘。「この激しい直線的な動きが、ネコにとってはとても魅力的なのだ」

選手たちの見事な宙返りや技は会場やテレビの前の観客を驚かせるだけでなく、選手たちも気づかないうちに、ネコの狩猟本能を駆り立てる役割も果たしている。

ゲラーによれば、ネコは獲物を追っている時に最も幸せを感じるため、これは悪いことではない。

オリンピックの体操競技は終了したが、ネコにハンター気分を楽しんでもらう方法はほかにもある。

ゲラーのおすすめは、ネコ用動画を見せたり釣り竿のようなネコ用おもちゃで遊んだりすること。おもちゃを上下に動かしたり隠したり一瞬動きを止めたりして、猫が獲物を捕まえる感覚を楽しめるようにするといいだろう。

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