パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスの最高指導者に選ばれたヤヒヤ・シンワル氏=ガザ地区北部ガザ市で2022年10月1日、ロイター

 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスは6日、暗殺された最高指導者、イスマイル・ハニヤ氏の後任に、ガザ地区トップのヤヒヤ・シンワル氏を選んだと発表した。シンワル氏はガザ地区の戦闘を指揮する「強硬派」とされており、ハマス幹部はAFP通信に「『抵抗』に向けた強いメッセージだ」と語った。今後、イスラエルとの停戦交渉が難航する恐れがある。

 ハマス政治部門幹部のハムダン氏は6日、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」で、シンワル氏が全会一致で選ばれたと明らかにした。シンワル氏の就任が停戦交渉に影響を与えるかどうかは「時期尚早だ」とした。

 イスラエルは、シンワル氏を昨年10月に起きた越境攻撃の首謀者の一人であり、ハニヤ氏の暗殺前から「事実上の最高指導者」とみていた。イスラエル軍のハガリ報道官は6日、中東メディアに対し「シンワル氏の居場所は(イスラエルが殺害した)テロリストの隣だ。我々は彼のために(墓を)準備している」と語り、シンワル氏を標的にする考えを改めて示した。

 シンワル氏は1962年、ガザ地区南部ハンユニスの難民キャンプで生まれた。イスラエルのスパイを摘発する活動などに従事し、スパイを残忍な方法で殺害するなど「ハンユニスの殺し屋」と恐れられた。88年にイスラエル兵らを殺害した容疑でイスラエル当局に拘束され、終身刑を言い渡されたが、イスラエル兵との捕虜交換で2011年にガザ地区に戻った。17年にガザ地区トップに選ばれ、21年に再選されている。

 7月31日に暗殺されたハニヤ氏は、カタールを拠点としていたこともあり、ハマス内では「穏健派」とされ、停戦交渉で中心的な役割を担ってきた。ガザ地区の戦闘員を束ねるシンワル氏は、イスラエルに対してより強硬だとみられている。【エルサレム松岡大地】

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