下院総選挙翌日の記者会見で写真撮影に応じる前進党のピター党首(当時)=バンコクで2023年5月15日午前11時44分、石山絵歩撮影

 タイの憲法裁判所は7日、昨年の下院総選挙で躍進した最大野党「前進党」に、王室批判を禁じる不敬罪の見直しを公約に掲げたのは憲法違反に当たるとして解党を命じた。ピター前党首(43)ら党幹部は被選挙権を10年間停止される。

 憲法裁は1月、公約は立憲君主制の転覆を謀る試みで違憲だと判断。選挙管理委員会はこれを受けて、政党法に基づく解党を請求していた。

2023年の下院総選挙で最多議席を獲得した前進党の議員ら=バンコクで2023年7月13日、AP

 タイでタブー視される王室や軍の改革を訴えた前進党は、若者や都市部の住民から支持を集め、第1党となった。しかし、親軍派や保守派の反発は強く、政権を獲得できなかった。

 現在の憲法裁の裁判官と選管委員は、2014年に発足した軍政が指名。その判断には国軍の意向が反映されていると言われる。前進党の前身である新未来党も、20年に解党された。

 タイメディアによると、判決で政治活動の制限を受けない前進党の議員らは今後、少数政党に合流するなどして活動を継続する意向を示しているという。【バンコク石山絵歩】

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