国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員が、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの越境攻撃に参加したとの疑惑を巡り、国連は5日、内部監査部(OIOS)による調査結果の概要を公表した。9人の職員が23年10月の攻撃に関与した可能性があるとし、雇用関係を打ち切った。
今年1月にイスラエルからの情報が寄せられ、グテレス事務総長が調査を要請していた。
国連によると、19人を対象にイスラエル当局が保有する情報を検討し、メールなどの通信や車両に関する記録なども調べた。安全上の懸念から対象者との面談は行わなかったという。
その結果、9人が攻撃に関与した可能性があったとした。残り9人は証拠が不十分で、1人は証拠がなかったという。攻撃への関与の有無が調査目的であったため、職員がハマスなどのメンバーだったかどうかの結論は出していない。
またイスラエル側から提供された情報は同国が管理しており、国連は大部分を独自に確認できなかったとしている。
調査結果を受けて、UNRWAのラザリーニ事務局長はハマスによる攻撃を「可能な限り強い言葉」で非難。国連の基本原則を守り、パレスチナ難民のための人道支援を継続することがUNRWAとしての最優先事項だと強調した。
OIOSとは別にUNRWAの中立性を調べていた第三者検証グループは今年4月、組織には中立性と人道主義を順守する「強固な枠組み」があると一定の評価をしつつ、職員採用のプロセスなどで改善を勧告した。
疑惑発覚後に日本を含む主要ドナー国がUNRWAへの資金拠出を一時停止したが、UNRWAが実施する組織改善策が評価できるとして、現在は米国を除くほぼすべてのドナー国が支援を再開している。【ニューヨーク八田浩輔】
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