8月5日、週明けの東京市場は、米景気後退懸念の高まりで、円高・株安・金利低下が一段と進んでいる。写真は株価ボードの下を歩く男性。都内で2022年6月撮影(2024 ロイター/Issei Kato)

5日の東京市場は午後も株安と円高に歯止めがかからず、日経平均は一時3300円まで下げ幅を広げ、ドル/円は142円台に下落した。米国経済への市場の見方がソフトランディング(軟着陸)期待から一転しており、マネーの流れも逆回転。安全資産の国債が買われて長期金利が低下する一方、日本株は年初からの上げが帳消しになった。

日経平均は3万3000円台を割り込み、東証株価指数(TOPIX)は取引時間中の年初来安値を更新した。先週末に発表された米雇用統計が市場予想を下回る内容だったことで市場心理がさらに悪化。2日に歴代2位の下げ幅を記録していた日経平均は5日も寄り付きから急落し、午前に一時2500円超安、午後は3300円超まで下げ幅を広げた。


トヨタ自動車10%安、東京エレクトロン14%安、ソフトバンクグループ14%安など、主力銘柄が軒並み売られている。

外為市場でドルが143円を一時下回ったことや、時間外取引での米株先物3指数が下げ幅を拡大したことなどが売り手掛かりとなっている。ナスダック先物は3%超安。日経平均先物では一時サーキットブレーカーが発動した時間帯もあった。

市場では「日本企業のほとんどが想定為替レートを140─145円で設定しており、為替による業績のかさ上げ効果がほぼなくなった。株にとっては相当マイナス」(国内証券ストラテジスト)との声が聞かれる。

為替市場では、米金利の低下を背景にドル売りが優勢だ。積み上がっていた円売りポジションの解消は途上にあるため、この日も円買い戻しが進んでいる。「予想以上に悪化した米失業率がリセッション懸念を引き起こした。9月に0.5%の利下げが行われる確率は無視できないものとなってきた」(ウエストパック銀行のシニアエコノミスト、パット・ブスタマンテ氏)という。

円債市場にも金利低下が波及した。国債先物9月限は一時前営業日比2円超の大幅上昇、サーキットブレーカーを発動した。長期金利の指標となる10年債利回りは一時0.785%と急低下、約4カ月ぶりの低水準となった。

海外発のリスクオフの動きを背景とした安全資産需要が追い風になっている。

アジア時間の米10年債利回りは3.79%付近へ一段と低下、昨年1月以来約1年半ぶり水準をつけた。



[ロイター]


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