米民主党のハリス副大統領(左)と共和党のトランプ前大統領=AP

 11月の米大統領選に向けて、民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)の陣営は3日、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が呼びかけた9月4日の討論会には応じない方針を表明した。併せて、トランプ氏がバイデン大統領との間で先に合意していた9月10日の討論会に応じるよう要求した。各討論会を主催予定のテレビ局にはカラーの違いがあり、両陣営の駆け引きが続いている。

 トランプ、バイデン両氏は9月10日にABCニュース主催の討論会に参加することで合意していた。しかし、トランプ氏は、民主党の候補が差し替えられたことで「合意は無効になった」と主張。新たに、9月4日に保守系のFOXニュースが主催する討論会に参加するようハリス氏側に要求した。

 しかし、ハリス氏の陣営は3日の声明で「トランプ氏は怖がって、討論の約束を破ろうとしている」と反論。「まずは既に合意済みの討論会をやった後、追加で討論するというなら喜んで話し合う」と主張した。これに対して、トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で「9月4日に彼女と相まみえるか、全く何もやらないかだ」とけん制した。

 トランプ氏が討論会の主催テレビ局にこだわる背景には、ハリス氏の候補指名が確実になった後、民主党に好意的な報道が増えていることがある。

 トランプ氏が最近批判を浴びた「ハリス氏はインド系から突然黒人に変身した」との発言に関する確認など、司会者からの批判的な質問を警戒している面もある。トランプ氏はABCを「フェイクニュース」と批判し、なじみが深いFOXを推している。

 一方で、従来「トランプ氏が討論から逃げている」と批判していたハリス氏の陣営も、討論会への参加を拒めば、「逃げているのはハリス氏だ」と批判の矛先が向くリスクがある。【ワシントン秋山信一】

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