トーマス・マシュー・クルックス容疑者 Aaron Josefczyk-Reuters
<トランプ前大統領が演説中に銃撃された事件に巻き込まれた負傷者が撮影した映像には、現場近くで動き回る「謎の人影」が映っていた>
ドナルド・トランプ前米大統領がペンシルベニア州で演説中に銃撃された7月の事件で、負傷した聴衆の男性が撮影した映像に、事件直前に近くの建物の屋上を横切る「謎の人影」が映っていたことがわかった。この人影は、事件の容疑者のものとの見方もある。人影は屋上を動き回り、トランプが演説中の会場の様子を伺っているように見えるシーンもある。
■【動画】トランプの向こうに建つ建物の屋上から様子を伺う人影...「暗殺未遂」犯人の新たな映像を発見か
7月13日に同州バトラーで行われた集会で、共和党大統領候補のトランプが演説中、トーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)が近くの建物の屋上から群衆に向かって複数回発砲した。そのうちの1発がトランプの右耳をかすめ、トランプは負傷。集会に参加していた元消防署長のコリー・コンペラトーレさんが銃弾を受けて死亡し、2人が負傷した。
FOXニュースが報じ、ソーシャルメディアでも話題になっているのは、事件の負傷者の1人であるジェームズ・コペンヘイバーさんが撮影したものだ。
映像はトランプをやや後方から撮影したもので、トランプ越しに建っている近くの建物の屋上を歩く人物が捉えられている。はっきりとした特徴までは確認できないが、この人物がクルックス容疑者ではないかとする見方も出ている。容疑者は、約140メートル離れた建物から22口径のライフル銃でトランプを狙撃した。
保守派団体ターニング・ポイントUSAの創設者のチャーリー・カークも7月31日、この動画をX(旧Twitter)に投稿し、「FOXニュースが入手した新たな映像には、暗殺未遂事件の様子が犠牲者の視点から映っており、犯人が銃を発射した建物の屋上を這っているのが見える」と述べた。
銃撃事件でのシークレットサービスの失態に批判高まる
この銃撃事件は、多くの陰謀論を生んでいる一方、トランプの警護を担ったシークレットサービスに対する批判も招いている。捜査官の訓練や、事件に関するキンバリー・チートル長官の調査を非難する声が政治家からも上がり、チートルは下院公聴会で証言した翌日に辞任した。
銃撃事件の捜査は続いており、シークレットサービスのロナルド・ロウ長官代行は7月30日、上院司法委員会の公聴会で証言した。公聴会にはFBIのポール・アバテ副長官も出席した。
アバテは、発砲の30秒前に警官の1人が屋上で長銃を持つクルックスを目撃していたことを認めた。しかし、ロウは「屋上の武器についての情報は、我々の隊員には伝わっていなかった」として、シークレットサービスの警護隊には銃を持った人物がいることは知らされていなかったと説明した。
クルックス容疑者の犯行動機については、明らかになっていない。
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