「ロシア海軍の日」、サンクトペテルブルクの街を背景に行進する掃海艇アレクサンダー・オブホフほかのロシア艦艇(7月28日) REUTERS 

<海軍の主力艦を並べて行進する「海軍の日」のメインイベントが中止になった深い理由>

ロシアでは7月28日に「ロシア海軍の日」を記念する軍事パレードが行われたが、そこで海軍の兵士たちがウラジーミル・プーチン大統領に対して行った敬礼がナチス式ではないかとネットが騒然となっている。

【動画】ロシア海軍兵士の敬礼、まさかナチス式?

ロシア・バルチック艦隊の母港サンクトペテルブルクで、演説を終えたプーチンに海軍兵が一斉に敬礼する様子をロシア国防省系列のテレビチャンネル「ズベズダ」が放送し、それがネットに流れて16万2000回以上視聴されている。

動画ではナレーションが、海軍兵たちが「ロシア連邦大統領からの言葉に応えて儀礼的な敬礼『Tin-Jay』を行う」と説明が入る。「海軍兵たちは右手を体の前に上げて『ロシア海軍万歳』と叫ぶ」

このジェスチャーについて、ウクライナ支持者NatalkaはX(旧ツイッター)にこう投稿した。「興味深いことに、ナレーターはロシア海軍の敬礼を詳しく説明している。それはこの敬礼がもう一つの有名な敬礼と不気味なほどよく似ているからだろう」

本誌はこの動画についてロシア国防省にコメントを求めたが、これまでに返答はない。

ナチスの敬礼に酷似

同じくウクライナ支持者のUnited 24 Mediaは「ロシア海軍はウラジーミル・プーチンに敬礼するのに新しい、奇妙な伝統を採用した。この伝統が歴史的に有名などの軍隊の影響を受けたものかは明らかだ」と書き込んだ。

ロシア海軍の敬礼がナチスの敬礼に似ているという直接の言及はなかったものの、この投稿を受けてロシア海軍とナチス式敬礼の関連を示唆するスレッドができた。

ウクライナのオレクシー・ゴンチャレンコ議員ほかの複数のユーザーが、ロシア海軍の敬礼がナチスの敬礼に似ていることを指摘。ゴンチャレンコは「ロシアはウクライナをナチス呼ばわりしてきたのに」と皮肉った。

だが、ロシアの反体制派ブロガーであるルステム・アダガモフの投稿によれば動画に映っているのは「ロシアの海軍兵ではなく、ゲストとして招かれていたアルジェリアとインドの海軍兵だ。これは彼らの伝統的な敬礼だ」。

インドの有力紙ヒンドゥスタン・タイムズ紙によれば、インドの海軍兵たちは事実、インド海軍のフリゲート艦「INSタバール」に乗船して式典に参加していた。「インドとロシアの海上協力を強化する」ための訪問だという。

ロシア海軍の日の祝賀式典には、ベネズエラやベトナム、キューバなど計31カ国が参加した。米シンクタンク「戦争研究所」は、ロシアのアレクサンデル・フォミン国防次官は式典に合わせて訪問した中国海軍上将の胡中明司令官およびミャンマー海軍のウィン・ティン司令官と会談し、より緊密な協力関係の構築について議論したと伝えている。

戦争研究所はまた、式典の目的は「西側に対抗するロシア主導の国家グループを創設するための取り組みの一環として、非西欧諸国との関係を誇示すること」だと分析した。

バルト海は危なくて

しかしロシアのテレグラムチャンネル「Agentstvo」は、2024年のロシア海軍の日の式典は2017年以降で最も規模が小さく、昨年に続き原子力潜水艦や軍用機が披露されることはなかったと伝えた。

またイギリスの情報機関が先週報じたところによれば、祝賀の恒例行事の一つで28日のメインイベントでもあったバルト海のクロンシュタット海軍基地までの艦船パレードも、安全上の理由で中止されたという。

英国防省は7月26日に、中止されたクロンシュタット海軍基地までのパレードは、ウクライナに本格侵攻して以降はむしろ、士気向上のため最も注目度の大きい重要イベントだったと指摘。

それができなくなったということは、スウェーデン、フィンランドのNATO加盟でバルト海沿岸の勢力図が大きく西側に傾いた今、「ロシアが自国の軍の安全を保障できない傾向が強まりつつあることを浮き彫りにしている」と述べた。

【動画】ロシア海軍兵士の敬礼、まさかナチス式?

A weird, new tradition in the Russian Navy....

I'll let you guess from which historic military they picked-it-up.

This is how the Russian Navy now salutes Vladimir Putin. pic.twitter.com/cmADk6Rjmh

— Jason Jay Smart (@officejjsmart) July 28, 2024


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