虐殺後の復興を主導したとして国民から評価されているカガメ大統領 JEAN BIZIMANAーREUTERS
<虐殺を終わらせた現職のカガメ大統領が4選。経済成長の裏で民主的な投票ではあり得ない強権支配。ほかの候補者はたいてい失格、毎回、実質的に対抗馬はいない...>
ルワンダの大統領選が7月15日に行われ、現職のポール・カガメ大統領が4度目の当選を果たした。カガメの得票率は99%。対立相手のほとんどは立候補が認められず、事実上、不戦勝だった。
カガメは1994年、ツチ人主体の反政府組織「ルワンダ愛国戦線」を率いてフツ人の過激派に勝利し、ツチ人を中心に80万人以上が殺害されたジェノサイド(集団虐殺)を100日間で終結させた。
その後まもなく副大統領に就任し、2000年、前任者の辞任に伴い、議会によって大統領に選出された。
以来、カガメは選挙で連勝している。前回の17年の大統領選でも得票率は約99%で、これは民主的な投票ではあり得ないとの指摘もある。カガメを声高に批判する候補者はさまざまな理由でたいてい失格となるため、毎回、実質的に対抗馬はいない。
今回の選挙では、緑の党のフランク・ハビネザ党首と、元ジャーナリストで無所属のフィリップ・ンパイマナの2人が立候補を認められたが(両者は前回選挙にも出馬)、政治アナリストによれば、彼らには勝利するための資金と選挙運動手段がない。
ルワンダ国民にとってカガメは、民族分裂を終わらせたビジョナリーであり、独裁者だ。多くの国民は、電気、舗装道路といった重要な公共サービスへのアクセスが拡大するなど、カガメの下で実現した経済変革を称賛している。
カガメは汚職に関与した閣僚を罷免し、結果を出さない者には責任を追及してきた。国際団体トランスペアレンシー・インターナショナルによると、ルワンダはアフリカで最も汚職の少ない国の1つだ。
国民は権威主義を受け入れ、不安定さよりも効率性を求めていると専門家らはみている。ルワンダには報道の自由がなく、人権団体や反政府活動家は、カガメが国外で反体制派の暗殺を組織していると非難する。
ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、17年の大統領選以降、少なくとも野党議員5人と反体制派やジャーナリスト4人が死亡、あるいは行方不明になっている。
援助が「テロの輸出」に
他国からの多額の援助にもかかわらず、ルワンダは依然として貧しく、マリやニジェールのような紛争に直面しているサハラ南縁諸国と同レベルだ。
国家予算の40%以上を援助に頼っており、外国援助の少なくとも一部は、近隣諸国への「テロの輸出」に使われているとも指摘されている。
コンゴ(旧ザイール)のフェリックス・チセケディ大統領は、ルワンダはコンゴに逃れた大量虐殺の加害者を捕らえることを口実に、民間人を虐殺し、コンゴの鉱物資源を略奪していると非難している。
アメリカと国連は、ルワンダがコンゴ東部の反政府勢力「M23」を支援していると主張している。国連の専門家による最新の報告書によると、M23を支援するルワンダ兵は3000〜4000人に上る。
安全保障の専門家が懸念するのは、ルワンダとコンゴ間の戦争と、「カガメ後」だ。ルワンダ政府は15年に憲法を改正し、カガメが最長で2034年まで大統領にとどまることを可能にした。
彼の下で民主主義制度が完全に損なわれていることを考えると、ポスト・カガメの時代は不安定さが増す恐れがある。
From Foreign Policy Magazine
■なぜカガメ大統領は勝ち続けるのか
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