ユネスコの世界遺産委員会は27日、中国、北京の中心部を南北に貫く「中軸線」を世界文化遺産に登録すると決定しました。

この「中軸線」には天安門事件の舞台となった「天安門広場」が含まれていることから、世界遺産にそぐわないという声も上がっています。インドで開かれている世界遺産委員会は27日、北京市を南北に貫く「中軸線」を世界文化遺産に登録すると発表しました。

中軸線は、南北におよそ8キロにわたって設定されたもので、これに沿って13世紀「元朝」の時代から「清朝」に至るまでおよそ700年にわたり、皇帝の住まいだった故宮や景山公園、天壇公園などの建物が建設されました。

世界遺産委員会は、選考の理由として「中国の王朝と都市計画の伝統の現われであり、そのデザインは理想的な首都の姿を示している」としています。ただ、中軸線上には、「天安門事件」の舞台となった「天安門広場」が含まれています。

「天安門事件」とは、1989年、民主化を求め広場に集まった学生らを中国政府が軍を出動させて弾圧したものです。

中国政府は、35年が過ぎた今も、弾圧を「正しかった」とする立場を崩しておらず、政府への批判や真相究明を求める声を厳しく規制しています。

中国国内では、ネットで検索しても「天安門事件」というワードは表示されないほか、天安門広場への外国人記者の立ち入りは今も許可されていません。

ユネスコは、世界遺産について「人類にとって顕著な価値があるもの」と定義しており、そこに政治的評価が分かれる天安門広場が含まれたことで、今後議論を呼ぶ可能性が出てきています。

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