パレスチナ自治区ガザ地区への攻撃を続けるイスラエルに抗議する人らが参加した五輪反対デモ=パリで2024年7月25日午後6時半、和田大典撮影

 パリ・オリンピックの開幕を翌日に控えた25日夜、パリ中心部の共和国広場で開かれたNGOの集会では五輪反対と並び、戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区への連帯が主要なスローガンの一つとなった。一方、広場近くでは親イスラエルの団体も「カウンター」と呼ばれるデモを行い、道路を挟んでスローガンで応酬する事態となった。

 「パレスチナに自由を」「反ユダヤ主義をやめろ」――。共和国広場付近では、親パレスチナと親イスラエルのスローガンが飛び交った。治安部隊はデモ隊同士の衝突を防ぐために道路脇に展開し、付近には一時、緊張感が漂った。

 パレスチナの旗を背負ったエンジニアの男性、ファディ・オスマンさん(49)は「パレスチナで起きていることは不正義の象徴だ。イスラエルのチームが五輪に参加するのは人として受け入れられない」と批判。平和の推進を掲げる五輪についても「(国連総会が決議した)五輪休戦は一度も守られていない。五輪は商業的なイベントにすぎない」と切り捨てた。

 一方、親イスラエルのデモに参加した女性、マリラ・ブロッシルさん(52)は「ガザ地区の戦闘が始まって以来、政治家などから反ユダヤ的な言動が目立つようになった。パレスチナの支援者は五輪を利用して左翼的な思想を広めようとしている」と主張した。

 ガザ地区では昨年10月以降、イスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が続いており、これまでにイスラエル側で約1200人、ガザ地区で3万9000人以上が死亡している。【パリ金子淳】

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