ウクライナのクレバ外相(左)とアメリカのブリンケン長官(7月9日、米ワシントンの国務省で) Allison Bailey via Reuters Connect
<クレバはウクライナ侵攻以降で中国を訪れた最も高位のウクライナ当局者。ゼレンスキー大統領も11月の平和サミットにロシアも代表団を送るべきだと発言、対話のシグナルを送っている>
ウクライナのドミトロ・クレバ外相はロシアのウラジーミル・プーチン大統領が始めた戦争について、ロシア政府と交渉する用意がある──中国外務省が発表した。
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中国外務省の説明によれば、クレバは広東省で中国の王毅外相と会談し、ウクライナはロシア政府と「対話と交渉を行う用意がある」と述べた。翻訳によればクレバはさらに、「交渉は公正で持続的な和平を達成することを目指した、合理的で実質的なものであるべきだ」と発言したという。
だがウクライナ外務省は中国側の発表を一部否定する声明を出し、クレバはロシア側が誠実に応じる用意があれば対話をするつもりがあるが、今のロシアにそのような用意があるようにはみられないと強調したと述べた。
ウクライナ外務省は、「ロシアによる侵略は平和を壊し発展を遅らせている」というクレバの発言を引用。クレバはさらに、「ウクライナに対する戦争を終わらせ、平和を回復し、国を復興する」ことが必要だとつけ加えたという。
本誌はこの件についてウクライナ外務省にコメントを求めたが、これまでに返答はない。
クレバはロシアがウクライナへの本格侵攻を始めた2022年2月以降に中国を訪れた、最も高位のウクライナ当局者だ。
中国はこの戦争について、公式には中立の立場を取っているものの、プーチンに外交面や経済面で支援を提供し、過去2年半の間にロシアとの貿易や防衛関係を大幅に増やしてきた。
領土割譲も受け入れか
ウクライナで続く戦闘を終結させるための協議実現の公算は高まりつつあり、7月15日にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、11月に開催を予定している平和サミットにはロシアの代表団も出席すべきだと発言した。
ゼレンスキーはプーチンとの会談は拒んでいるものの、ロシア政府が和平計画を協議し「国連憲章に沿った形で戦争を終わらせることに合意するなら、我々には対話の用意がある」と述べた。
7月23日にキーウ国際社会学研究所(KIIS)が発表した世論調査の結果によれば、ウクライナ国民の間では、和平と引き換えにロシアへ領土を割譲することを支持する声が高まっている。
今回の世論調査で和平のためなら領土の割譲を受け入れると回答したウクライナ人は全体の32%にのぼり、2023年2月の9%、2024年2月の26%から増加した。それでも、開始から2年半になる戦争を終わらには、まだいくつもの障壁がある。
元ウクライナ兵のアナリストであるビクトル・コバレンコは、「(ロシアが2014年に一方的に併合した)クリミア半島が以前として和平の最大の妨げになっている。プーチンは、クリミア半島がロシアにとって最も重要な資産だと考えている」と指摘した。
「同半島は(ウクライナ南部の少数民族)クリミア・タタール人の先祖代々からの土地で、ウクライナ政府にとって、クリミア半島の割譲については交渉の余地がほとんどない」と彼は本誌に述べた。「ウクライナにはクリミア半島が必要なのだ。黒海を通じたウクライナの穀物貿易の安全を守るためには、クリミアからロシアの海軍と空軍を撤退させる必要がある」
KIISの世論調査ではまた、戦争を終わらせるためにロシアに領土を割譲することに依然反対だと回答した人は過半数の55%にのぼった。ただしこの数字も、2023年12月の74%と比べれば減少している。
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