(写真はイメージです) David Vives-Unsplash

<子犬パコの訪問により、老人ホームの入居者たちが心を開き始めた>

老人ホームをサプライズ訪問した小さな子犬が入居者に抱っこされて笑顔にさせ、それ以上に大切な効果をもたらした。

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パキート・バレンティノ、愛称パコはわずか数週間前、イギリスのマーシーサイドに住むリディア・ブレナンとルームメイトのケイシーの飼い犬になったばかり。しかしこれが最高の出会いになった。

「2人とも犬好きだけれど、その時は飼う予定はなかった」とブレナンは本誌に語った。「ネットでただ何となくいろんな子犬を見ていたら、パコの写真が目に入って、2人ともたちまち心を奪われた」

これは自分たちの子だと直感したというブレナンは、すぐに保証金を支払ってこの犬を確保した。まだ生後13週間のパコが新しい環境に馴染むのに時間はかからなかった。

「この子が一番好きなのは人間。いつも人のそばにいたがって、抱っこされたり引っ張り合いをしたりほかの犬たちと遊んだりするのが大好き。たくさんの服も気に入り始めている。帽子やバンダナ、動物の着ぐるみ、セーターなど衣装のコレクションは幅広い」とブレナンは話す。

動画には「涙が出た」とのコメントも

ブレナンが@paquitovalentinoのアカウントからTikTokに投稿した動画には、パコの人間好きがはっきり表れている。サウスマンチェスターの老人ホームをパコがサプライズ訪問した時の様子を撮影したこの動画に、「涙が出た」というコメントもあった。

ブレナンは言う。「ケイシーはそのホームで介護士をしていて、入居者にパコのことを話したところ、みんなが会いたがった。私はその日、この犬と一緒に家にいたので、連れて行ってみんなに抱っこしてもらったら喜んでもらえるだろうと思った」

パコは到着するとすぐ入居者に挨拶しに行き、大喜びで新しい環境を受け入れたという。「たくさんの部屋へ行って入居者に抱っこされ、談話室でみんなと数時間過ごした。庭の散歩にも出かけてあとはずっとそこで過ごし、入居者の世話をする介護士を手伝った」(ブレナン)

訪問だけでも可愛らしさは十分だったが、小さなパコの挨拶にはそれ以上に大きな意味があった。

引退した高齢者は寂しい思いをすることもある。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者が高齢者1604人を対象に実施した調査では、43%が日常生活の中で孤独を感じると回答した。

これには懸念もある。同じ調査によると、孤独は健康状態悪化のリスクを59%増大させ、死亡リスクを45%増大させる。パコのような犬は、私たちの心の健康増進に役立つことが実証されている。

学術誌アニマルズに発表された2019年の研究では、試験のストレスを感じている学生を対象として、一部のグループに一定時間、犬と接してもらった。

この実験の前後にはアンケートに回答してもらい、全般的な気分を診断した。その結果、犬と触れ合った被検者は不安が和らぎ、全般的に気分が高まっていることが分かった。

パコの訪問で「開かれた心」

ブレナンはパコが老人ホームの入居者に与える影響を目の当たりにした。「みんな大喜びだった。喜びで顔を輝かせる様子は素晴らしかった」。しかしそれだけではなかった。パコのおかげで入居者が心を開いてくれた。

「家族の結婚の写真や亡くなった夫の写真を私に見せてくれた入居者もいた」とブレナンは話す。「パコはまるでセラピー犬だった。この子を抱っこしていると、心を開いてもいいと思える。私たち全員にとって本当に素晴らしい経験だった」

パコの訪問は当初、1回だけの予定だったが、最初の訪問が大好評だったことから予定が変わった。「また一緒に来てほしいとみんなから頼まれたので、定期的に訪問することになった。この子の成長を見てもらえるように」とブレナンは話している。

(翻訳:鈴木聖子)

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