22日、米大統領選からバイデン大統領が撤退し、新たな民主党候補については同氏から後継指名されたハリス副大統領が最有力視されている。ドイツ・ミュンヘンで2月17日代表撮影(2024年 ロイター)
米大統領選からバイデン大統領が撤退し、新たな民主党候補については同氏から後継指名されたハリス副大統領が最有力視されている。ハリス氏の幾つかの重要なビジネス分野に関する過去の発言や行動は以下の通り。
◎ハイテク業界との関係
カリフォルニア州司法長官候補時代にハリス氏は、献金が見込めそうな人々に対して自分は資本主義者だと改めて請け合ったと伝えられている。地元サンフランシスコでは有力なハイテク企業幹部や投資家との関係も総じて親密。フェイスブックの初代トップだったショーン・パーカー氏の結婚式に出席し、義理の兄弟のトニー・ウエスト氏は、ウーバーの最高法務責任者を務めている。
ハリス氏は、有力ベンチャーキャピタリストでリンクトイン共同創業者のリード・ホフマン氏や、ベンチャーキャピタリストのロン・コンウェイ氏らからも献金を受けた。フェイスブックの最高執行責任者だったシェリル・サンドバーグ氏や、富豪でセールスフォース最高経営責任者(CEO)のマーク・ベニオフ氏もハリス氏を支持している。
◎ハイテク規制
ハリス氏はカリフォルニア州司法長官として、2012年にイーベイを提訴した。インテュイットとの間での引き抜き禁止協定が独占禁止法に違反するとの主張で、14年に400万ドル弱の和解金支払いによる合意につながった。
ソーシャルメディア上でのわいせつなコンテンツ、特にいわゆる「リベンジポルノ」の拡散取り締まりにも力を注いできたハリス氏は、フェイスブックやアルファベット傘下のグーグル、マイクロソフトなどに一定の画像を削除するための措置を講じさせるという成果を上げた。
◎気候変動・エネルギー
ハリス氏の気候変動・エネルギー問題への対応は、バイデン氏と相似する。ただハリス氏は政治活動の全期間を通じて、クリーンエネルギーと環境保護を最優先課題として取り組む姿勢を鮮明に打ち出している。
バイデン氏が20年の大統領選でハリス氏を副大統領候補にすると発表した際には、ハリス氏がカリフォルニア州の幹部時代に大手石油会社に厳しい姿勢を示した点を強調した。ハリス氏はサンフランシスコ地区検事だった04―11年と、その後17年までのカリフォルニア州司法長官の在任中、大手石油会社を相手に複数の訴訟を提起。シェブロンとBPの地下燃料貯蔵施設の汚染問題では多額の和解金支払いに同意させている。
ハリス氏は、バイデン氏が提唱した開発区画リースと補助金による洋上風力発電やその他再生可能エネルギーの普及促進を支持しており、化石燃料に肩入れするトランプ前大統領とは対照的だ。
昨年ハリス氏は、国際的な気候変動対策協議に初めて出席し、米国が「緑の気候基金」に30億ドルを追加拠出する方針を表明。副大統領としては、鉛製給水管の交換など懸案となっている環境問題にも取り組んでいる。
◎ウォール街
ハリス氏はカリフォルニア州司法長官時代には、大手銀行に厳しいとして有名だった。11年には、各州の司法長官と大手行が合意した、貸し手側が住宅差し押さえなどで痛手を受けた消費者の救済を義務付ける和解案からハリス氏が離脱し、その後銀行はカリフォルニア州の住宅ローン債務者の負担軽減に向けた4倍以上の資金拠出を約束させられた。
カリフォルニア州はハリス氏の下で、16年にウェルズ・ファーゴが顧客の承認なしに口座開設やクレジットカード発行をした問題を巡り、刑事捜査も開始している。
それでもウォール街の何人かの有力者は、大統領選でハリス氏を支持すると報じられた。セマフォーが21日伝えたところでは、センタービューのブレア・エフロン氏や、ブラックストーンのジョナサン・グレー氏、ラザードのピーター・オルザグ氏とレイ・マグワイ氏、エバーコアのロジャー・アルトマン氏などからの献金が予想されるという。
◎製薬業界
ハリス氏は、ヘルスケア業界の再編について、企業の大規模化は消費者向け製品の値上がりをもたらすとして反対している。
カリフォルニア州司法長官時代には、製薬会社や医療保険会社、病院運営会社などに対する裁判で勝訴。薬価水増しや同州のメディケイドへの過剰請求を巡る訴訟でも、被告企業に和解金支払いを同意させた。
◎人工知能(AI)
ハリス氏は副大統領として、AIの脅威を警告し、AIがもたらし得る危険を防止する「道徳的な」義務がハイテク業界幹部にはあると強調した。
バイデン氏がハイテク業界に対して発した消費者保護強化命令を支持するとともに、具体的な問題としてAIによる詐欺電話やコンテンツにAI製の表示がなされないことなどを挙げた。
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