米連邦下院は19日、ウクライナ、イスラエル、台湾への軍事支援などを盛り込んだ総額約953億ドル(約14兆7300億円)の緊急補正予算案の審議規則案を賛成多数で可決した。下院では議案審議を進めるため、最初に討論時間などを巡る規則を決める必要がある。規則案が可決されたことで、調整が難航していた下院での審議が進む見通しが立ち、停滞するウクライナ支援再開に向けた展望が開けた。予算案の採決は20日(日本時間21日)に行われる予定だ。
19日の規則案の採決は、賛成316票、反対94票だった。規則案の採決では多数派の共和党が賛成、少数派の民主党が反対するのが通例だが、共和党の保守強硬派は「国境管理強化を優先すべきだ」と異論を唱え、55人が反対。一方、ウクライナ支援の早期再開を重視する民主党から165人が賛成に回り、異例の超党派の支持で可決された。
保守強硬派には、ジョンソン下院議長(共和党)の解任を求める動きがくすぶっている。議長が解任された場合、全ての議案の審議がストップするが、保守強硬派も解任動議の採決を求めるまでには至っていない。
緊急予算案の成立には、上院での可決とバイデン大統領の署名が必要だ。上院は既に下院案に似た内容の予算案を一度可決しており、可決のハードルは高くない。バイデン氏も下院案を支持する考えを表明している。【ワシントン秋山信一】
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