20代後半から40代前半のミレニアル世代と1990年代半ば以降に生まれたZ世代に人気の投資対象は何か。意外なことに、それは金(ゴールド)だ。2017年撮影(2024年 ロイター/Eric Gaillard)
20代後半から40代前半のミレニアル世代と1990年代半ば以降に生まれたZ世代に人気の投資対象は何か。意外なことに、それは金(ゴールド)だ。
バンク・オブ・アメリカ・プライベート・バンクの最近の調査によると、43歳以下の富裕な投資家の45%は金の現物資産を所有しており、45%は金投資に関心を持っている。この割合は他の年齢層よりも高い。
ステート・ストリートの調べでも、ミレニアル世代の投資ポートフォリオに占める金の割合は17%と全世代で最も大きく、ベビーブーム世代およびX世代の10%をはるかに上回っている。
数千年も前から存在する古風な資産に、若い世代がここまで引きつけられるのはなぜだろうか。
その一因は、金のスポット価格が現時点で1オンス=2400ドル前後と堅調なことにある。
また、身近な小売店が金の延べ棒の販売を行うようになったことも挙げられる。コストコは昨秋、1オンスの金の延べ棒を販売し始め、ウェルズ・ファーゴの推計では1カ月間の売上高が2億ドルに達することもあり売れ行きは好調だ。
金に関心を持った若い世代が心得ておくべき「黄金律」について、専門家の見解をいくつか紹介しよう。
<金現物の保有にはハードルも>
金の魅力のひとつは有形資産であることだ。世界の金融システムが大混乱に陥ったり、通貨が暴落したりしても、手元に現物の資産を持っていられる。
ファイナンシャルプランナー企業、キャノガ・パークのエリック・アムザラグ氏は「ミレニアル世代の顧客は裕福になるにつれ、直接保有できて自分で保管できる金への関心を強める」と話す。投資の目的が、利殖から資産の保全に移るからだ。
しかし金の現物保有には、それ特有のハードルがある。(1)あなたを「カモ」にしない信頼できるディーラーを見つけること、(2)納品と保管が安全に行われること、(3)購入に保険を掛けること、そして(4)最終的に売却する方法を見つけることだ。コストコは、販売した金を買い取ってはくれない。
ポートフォリオを守るためには、金の国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のアドバイザリーガイドをチェックしよう。
<ETFの検討を>
金の上場投資信託(ETF)を使えば、現物の購入、保管、売却に伴う問題は避けられる。金のETFには金現物に投資するものと、金先物に投資するものの2種類があり、比較的手軽に売買できる。
デジタル金融サービス会社SoFiの投資戦略責任者、リズ・ヤング・トーマス氏は「ETFはある程度手数料を払う必要があるが、実際に金地金を納入されて地下に保管するといった手間を避けたければ、良い代替手段だ」と話した。
金ETF最大手「SPDRゴールド・シェア」の場合、運用管理費等の手数料の比率であるエクスペンスレシオが0.4%で、1年間のリターンは実に23%を超えている。ニューモントやバリック・ゴールドなど大手金鉱企業株に投資する「バンエック金鉱株ETF」などのETFを買う手もある。
ポートフォリオに金を組み込むのは、確かに理にかなっている。他の資産との相関が低い上、インフレや市場混乱に対するヘッジにもなり得る。ただ、金はコモディティーである以上、かなり変動が激しく、投資家の間で人気の満ち引きも激しい。
そのため、大半の投資家がポートフォリオの主軸に据えるべきなのは、やはり株式だと専門家は言う。収益を上げて配当を払い、株価上昇も見込める企業に投資する株式の方が、長期的なリターンは大きく、金よりもダイナミックな資産クラスだと言える。
ファイナンシャルプランナーのジョナサン・キャメロン氏は金投資について、若い投資家は他の投資を補う「サイドディッシュ」にとどめるべきだと指摘。若い顧客を多く持つ同氏は「ここ数年、多くの顧客のポートフォリオにはヘッジ手段として金ETFを(5%ほど)組み込んでおり、全員から好評を得ている」と語った。
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