ホワイトハウスで三者会談に出席するハリス副大統領(左)とバイデン大統領=米首都ワシントンで2024年4月11日、AP

 11月の米大統領選に向け、民主党のジョー・バイデン大統領(81)が高齢不安などから撤退を決断した。民主党は、既に共和党の候補に指名されたドナルド・トランプ前大統領(78)との戦いに向け、代わりとなる候補への「差し替え」を急ぐ。

 バイデン氏は後継候補にハリス副大統領を支持すると明らかにしたが、党内からは「徹底的な討論と熟慮のもとに選ぶ」(アリゾナ州のケイティ・ホッブス知事)よう求める声が出ている。

 民主党は2~6月に予備選・党員集会を実施した。有力な対抗馬はおらず、そのほとんどでバイデン氏が勝利し、各州・地域に割り当てられた代議員らを積み上げた。AP通信によると、バイデン氏は約3900人いる代議員のほとんどを獲得。この代議員らはバイデン氏への投票を「誓約」しており、その投票によってバイデン氏が正式に党の候補に指名されるはずだった。

 ところが、バイデン氏が撤退したことで、こうした代議員らの投票先が宙に浮くことになる。この場合に代議員らがどう投票するかについては、民主党内で明確に定められた規則はない。

 一般的には、撤退した場合は代議員らは自分が選んだ別の候補に投票する自由があると解釈されている。ただし、代議員の選定にはバイデン氏の陣営も関与しているため、バイデン氏やその陣営の意向を全く無視した新たな候補は選ばれにくい。バイデン氏はハリス氏を支持すると明らかにした。

 ただ、いつどのような形で選ぶのかは、現時点では不透明だ。元々、民主党は8月19~22日に中西部イリノイ州シカゴで開く党全国大会で代議員による投票を行い、党の候補指名をする予定だった。

 しかし、中西部オハイオ州が州法で候補指名の期限を8月7日と定めているため、民主党全国委員会(DNC)は5月、それに間に合わせるためにシカゴに集まる前にオンラインでバイデン氏を指名する方針を示していた。

 同州がその後、指名の期限を民主党大会後に変更したため、党大会前に候補指名をしなければならない理由はなくなった。バイデン氏に代わる候補者は、オンラインか党大会かなどの形式は現時点では不明だが、代議員が投票で決めるシナリオが有力だ。

 幅広い党支持層を引きつけ、無党派層にもアピールするためには、できるだけ透明性がある選考過程と投票による選出が出発点になる。

 最終的に党候補指名を獲得するためには、過半数の代議員の支持が必要だ。【ワシントン西田進一郎】

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