バイデン米大統領=ホワイトハウスで2024年7月14日、ロイター

 11月の米大統領選で再選を目指す民主党のバイデン大統領(81)について、米メディアが18日、近く撤退を決断するとの見方を相次いで伝えた。党の有力者が水面下で選挙戦継続への懸念を示したり、撤退を促したりする動きも拡大しており、バイデン氏を取り巻く環境は厳しさを増している。

 バイデン氏は6月27日の共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)とのテレビ討論会で言葉に詰まるなど精彩を欠き、党内外から高齢批判が高まっていた。

 ワシントン・ポストは18日、党の有力者のペロシ元下院議長が複数の議員に対して、バイデン氏が近く撤退を受け入れる可能性があるとの見方を示したと伝えた。またニュースサイト「アクシオス」も複数の党幹部らが、早ければ今週末にも撤退を決断するとみていると報じた。

 一方、ロイター通信によると、バイデン陣営幹部は「バイデン氏は揺らいでいない。出馬すると言っている」と撤退を否定しており、情報は交錯している。

 ペロシ氏ら多くの党の有力者は公の場では撤退を求めていない。ただ複数の米メディアによると、水面下でバイデン氏に対して、選挙戦を継続する懸念を伝えたり、撤退するよう促したりしているという。

 ワシントン・ポストによると、バイデン氏の相談役となってきたオバマ元大統領も側近に、「バイデン氏の再選への道は厳しくなっている」と語ったという。オバマ氏は現在も国民の人気が高く、党内で影響力を持つ。

 またCNNテレビによると、ペロシ氏がバイデン氏に電話で、世論調査の結果ではトランプ氏に勝てない上、下院でも多数派の奪還を逃す可能性があると伝えた。

 ワシントン・ポスト紙などによると、民主党上院トップのシューマー議員と、下院トップのジェフリーズ議員も先週別々にバイデン氏と面会し、撤退を促した。公然と撤退を求めている連邦議員は、下院を中心にこれまでに20人超に上っている。

 一方、NBCテレビが関係者の話として伝えたところによると、バイデン氏はこうした党内の動きに対して、「傷つき、裏切られた」と感じ、怒ってもいるという。

 バイデン氏は17日に新型コロナウイルスの検査で陽性となり、地元の東部デラウェア州で自主隔離しながら執務を続けている。【ワシントン松井聡】

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