エッフェル塔を望むトロカデロ広場周辺には「工事中、立ち入り禁止」の看板が JERRY LAIーUSA TODAY SPORTSーREUTERS

<会場付近の立ち入り規制に加え、駅の封鎖、道路の交通制限といった不便を強いられる住民たち。関係者受け入れのために学生寮には退去命令も>

マルセイユ港に到着した聖火がフランス各地を巡り、エッフェル塔にシンボルの五輪が設置され、パリはいよいよオリンピックに向けた本格始動体制に入っている。

しかし、パリ住民に広がるのは高揚感だけではない。数年前に経験したあの非常事態さながらに、不自由を強いられる場面が急増しているのだ。

テロの脅威が高まるなかでの五輪、特にセーヌ川沿いでの開会式に備えて厳重な警戒が敷かれ、開会式当日までの7月18~26日はセーヌ川周辺地域への立ち入りが規制される。


この期間は17のメトロの駅が閉鎖、バスも迂回経路に変更。各国からの関係者受け入れ準備では奨学生用の寮に住む学生が犠牲になり、6月には退去を命じられた。

パリを取り囲む環状道路は、一車線の通行がタクシーと、選手や公式代表団を輸送する車だけに制限される。

中心部は飽和状態になることが予想されるため、住民は公共交通機関の利用を避けてリモートワークをするよう推奨され、アマゾンなどの宅配も利用しないよう呼びかけられている。パリ住民にとってはまるでコロナ禍のロックダウンだ。

こんな状況で五輪期間を楽しむためには? パリを脱出してバカンスへ、というパリジャンも少なくないようだ。

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