警備員の必死の誘導にも、全く動く気配のないタクシー。
別のタクシーは道路の真ん中に停車したままで、後ろには大渋滞ができています。

この動画のタイトルは、「たった一つの“袋”にびびる無人タクシー」。
中国が力を入れている無人の自動運転タクシーを巡り、今、さまざまな問題が明らかになっているのです。

2台の無人タクシーが交差点で出くわすと、“お見合い”が発生。

動画の音声：
（無人タクシー同士が）譲り合ってるよ。面白い。

動画の音声：
えっ、譲らないの？？動き出すのも止まるのも一緒なんて、バカみたい。

かつて新型コロナウイルスで注目を集めた中国・武漢の街は今、世界でも最先端の無人タクシーの街になっていました。

車の屋根にカメラやセンサーのようなものがついているのが、無人タクシー。
武漢市内では、約500台がすでに走行中です。

そのうちの1台を予約し、記者が乗車してみると、誰もいない運転席のハンドルがぐるぐると動き、右左折や車線変更もお手の物のように見えます。

目的地まで3.1kmの道のりを、大きなトラブルもなく13分ほどで到着。
料金は、日本円で約230円です。

利用した人からは、「とても面白いわ。科学の発展はとても早いですね」「確かにちょっとダメな時がある。例えば曲がるとき少しゆっくり過ぎるところとか」と、様々な声が聞かれた。

確かに取材中、Uターンしようとした無人運転タクシーがモタつく場面も…。

前に人や車があると止まってしまうなど、AI技術が用いられていても想定外の状況に出くわすと対応しきれず、無人タクシーが渋滞の原因や事故の当事者になってしまう事態が発生しているのです。

そして、無人タクシーによる負の影響を最も受けるのは、これまでのタクシーの運転手たち。

景気が失速する中国では今、タクシーやライドシェアのドライバー職に就く人が増え、ただでさえ飽和状態だといいます。

タクシーの運転手は、「もし無人タクシーが普及したら、私たちは仕事がなくなる。もうどうしようもないよ、餓死するしかない」と、苦しい状況を語りました。

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