同性愛者であることを理由に母国で迫害を受けた北アフリカ出身の男性が、難民と認定されなかった処分の取り消しを求め、一審で訴えが認められた裁判で、この判決を不服として国側が控訴しました。

■男性と交際したら家族から「監禁や暴行」

北アフリカ出身の30代の男性は、男性と交際したことを理由に家族に監禁され、暴力を受けるなどした上、警察に相談しても同性愛をやめないと「逮捕する」と言われたということで、2019年に日本に逃れてきて、難民と認めるよう申請しました。

しかし不認定となったため、国に対してこの決定を取り消すよう求めて裁判を起こしていました。

■大阪地裁は「難民に該当する」と判断し国側に不認定の取り消し命じる

大阪地方裁判所(徳地淳裁判長)は、7月4日、「男性の母国では同性による性行為が法律で処罰対象となっていて差別や暴力を受ける恐れがある」などと指摘し、「帰国した場合、逮捕や訴追される恐れがあり、国からの保護も受けられず、難民に該当する」などとして、国に不認定とした処分を取り消すよう命じました。

同性愛者など性的少数者であることを理由に難民と認める判決は、全国で2例目ということです。

■国側「判決に不服があるため上級審の判断を仰ぐ」

国側は17日、この判決を不服として大阪高等裁判所に控訴しました。

出入国在留管理庁は「判決に不服があるため上級審の判断を仰ぐことにした」とコメントしています。

■原告代理人「難民認定まで病院にも行けない。控訴には悪意しか感じられません」

国側の控訴を受け、男性の代理人の松本亜土弁護士は「一審では、原告が難民であることが客観証拠や本人尋問から立証できたので、難民不認定取消判決がでました。難民認定されるまでは、原告は病院にも行けず、仕事もできません。難民を人として扱わない国の控訴には悪意しか感じられません」とコメントしています。

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