銃弾は思わぬ方向から飛んできた(演説中に耳を撃たれ、シークレットサービスに抱き抱えられたトランプ)(7月13日、ペンシルバニア州バトラー) REUTERS/Brendan McDermid
<トランプ暗殺未遂が起こった直後、イランのトランプ暗殺計画が報道で暴かれた。トランプ前政権下の2020年、米軍の空爆で革命防衛隊のソレイマニ将軍が殺されたときから、シークレットサービスはイランの復讐を警戒していたというのだが>
イランがドナルド・トランプ前大統領を暗殺する計画を立てていたことが、最近の報道で明らかになった。
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CNNは7月16日、匿名の安全保障担当者の話を引用し、米当局は最近、イランがトランプ前大統領の暗殺を企てているとの情報を入手していたと報じた。
この記事が出たのは、トランプがペンシルベニア州バトラーで行った選挙集会で耳を撃たれた直後だった。
CNNによると、この暗殺計画の情報を受け、シークレットサービスは2024年の大統領選挙に向けてトランプの選挙集会周辺の警備を強化することになったという。CNNは、イランの陰謀と13日の暗殺未遂を結びつける情報はない、とも述べている。
シークレットサービスのアンソニー・グリエルミ報道官は本誌の取材に対し、「シークレットサービスおよびその他の政府機関は、常に脅威となりうる新たな情報を入手し、必要に応じて、それに対応するためのリソースの調整を行っている。シークレットサービスは脅威を真摯に受け止め、然るべく対応するということ以外、特定の脅威についてコメントすることはできない」と述べた。
無関係に起きた13日の銃撃
イランの国連代表部は本誌の取材に対し、「こうした非難は根拠がなく、悪意に満ちている」と声明を発表し、この報道を否定した。
「イラン・イスラム共和国から見れば、トランプはカシム・ソレイマニ将軍の暗殺を命じた罪で訴追され、法廷で処罰されるべき犯罪者だ」と、イラン代表部は述べた。「イランは、彼を裁くために法的に責任を追及する道を選んでいる」イラン革命防衛隊の精鋭コッズ部隊を率いていたソレイマニ将軍は、2020年1月に米軍の空爆で死亡した。
共和党の事実上の次期大統領候補だったトランプは13日の午後、ペンシルベニア州バトラーで開かれた集会で演説中、銃撃された。
トランプは右耳をつかみ、警備員が彼を守るために群がった。銃撃犯は、シークレットサービスによって射殺された。FBIの捜査で、ペンシルベニア州ベセルパーク在住のトーマス・マシュー・クルックス(20歳)と特定されている。
この銃撃事件で集会の参加者1人が死亡、2人が重軽傷を負った。
CNNの報道によれば、国家安全保障当局とシークレットサービスのメンバーは、13日のトランプの集会の前に、イランによる暗殺計画を知らされていた。
「米国家安全保障会議(NSC)はシークレットサービスが最新の情報を追跡し続けていることを確実にするため、上級レベルで直接連絡を取った。シークレットサービスはこの情報を共有し、トランプ陣営は脅威が高まっていることを認識した」
「脅威の増大に対応して、シークレットサービスはトランプ前大統領の保護のためにリソースと警護の人員を追加した。これらすべては13日に先駆けてのことだった」と、安全保障担当者は匿名でCNNに語った。
イラン政府高官は、トランプが大統領在任中にソレイマニ将軍の殺害を命じたことから、トランプを敵視している。
今年3月、マイアミのFBIは、マイク・ポンペオ前国務長官など以前トランプ政権に関与していた暗殺目標に関連して指名手配されているイラン人暗殺者について警告した。
ニューヨーク・タイムズ紙が入手した声明の中で、国家安全保障会議のアドリアン・ワトソン報道官は、「何度も言っているように、われわれはトランプ前政権高官に対するイランの脅威を前政権に遡って何年も追跡してきた」と述べている。
「これらの脅威は、カシム・ソレイマニ殺害に対するイランの復讐心から生じている。われわれはこれを国家と国土安全保障の最優先事項と考えている」とワトソンは付け加えた。
イランは暗殺計画を全面否定
CNNのファリード・ザカリア記者は16日、イランのアリ・バゲリ・カニ外相代理に、暗殺計画に関する報道について質問した。
「ソレイマニ将軍暗殺の実行犯と軍事顧問を裁判にかけるために、国内レベルでも国際レベルでも、法的・司法的手続きと枠組みを利用すると、私ははっきり言った」とカニはCNNに語った。暗殺など計画するわけがないというわけだ。
いずれにしろ、銃弾は別のところから飛んできた。
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