キューバに駐在していた北朝鮮の外交官が韓国に亡命していたことが分かった。
金正恩総書記から表彰されたこともあるエリート外交官は「金体制に嫌気がさした」と話している。
韓国に亡命したのは中米のキューバにある北朝鮮大使館で政治担当参事を務めていたリ・イルギュ氏で、韓国の大手紙「朝鮮日報」が16日と17日に本人のインタビューを掲載した。
2023年11月に家族と共に亡命し、現在は韓国で暮らしているリ氏は亡命した理由について、上級幹部から賄賂を要求されたことや、自身の職務評価を巡って外務省本部と対立したことなどを挙げ、「北朝鮮の体制に嫌気がさし、暗い未来を悲観し、こんな社会から抜け出したいという気持ちから脱北を考えるようになった」としている。
リ氏は「北朝鮮の住民なら誰でも一度は韓国で暮らしてみたいと思うようになる」「(住民は)子どもの未来が良くなるためには統一しかないという考えを共有しているが、金正恩体制はその希望まで無残に奪った」と批判している。
金総書記と一緒にお茶を飲んだこともあるというリ氏は、金総書記について「向かい合って座るとただの平凡な人間だ。近くで見ると、血圧がとても高いと思った。いつも顔が酒を飲んだように真っ赤だった」と金総書記の印象を語っている。
また金総書記がジュエ氏とみられる娘を「姫」と呼び、外出先に連れて行くなど溺愛ぶりを伝えた一方で、後継者説については、「絶対権威、絶対崇拝を受けるための神秘性がない」として「個人的には難しいと思う」と述べている。
北朝鮮が進める核・ミサイル開発については、「莫大な資金を費やし、国の経済を荒廃させ、2500万の市民を現代版奴隷に転落させた」「高齢の方々は『日帝の時(日本統治時代)にもこんなに辛くなかった』と話していた」と北朝鮮の窮状ぶりに言及。
また金総書記の妹・与正氏については「ナンバー2とかナンバー3だとか、すべて嘘だ。『最高尊厳(金総書記)以外は全て奴隷であるだけだ」と述べた。
リ氏は金総書記から表彰されたこともある北朝鮮外務省きってのキューバ通で、キューバと韓国の国交正常化を阻止しようとする任務を担っていたというが、韓国とキューバは2024年2月に国交を樹立した。
今後については「私のような人たちは『統一ができる』という仮定や信念がなければ生きられない」とした上で「暗黒の地(北朝鮮)にどうすれば光を与えられるか、考えたい」と述べている。
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