欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は12日、短文投稿サイト「X(ツイッター)」に対し、提供する青い認証マークが悪用されたケースがあるなどとして、EUが大手IT企業を規制するため定めたデジタルサービス法(DSA)に違反しているとの暫定的な見解を公表した。DSAに基づき調査結果を出すのは初めて。
Xを巡っては、2023年10月のイスラム組織ハマスのイスラエル奇襲後、ガザ情勢の偽情報や暴力的なコンテンツが氾濫したことを受け、同法に基づく初の正式調査に入っていた。
Xの青い認証マークは、従来は審査を経て著名人らのアカウントが本物だと示していたが、米起業家のイーロン・マスク氏が22年10月に買収を通じて実権を握って以降、有料会員に与える形へ仕様変更した。
ガザ情勢を巡る偽情報なども一部は認証マーク付きアカウントから拡散されていたと欧米メディアでは報じられている。欧州委の暫定的な見解では、一部で「ユーザーをだますために『認証済みアカウント』を悪用した証拠がある」と指摘。欧州委高官も「認証マークはアカウントが本物だと誤解を招く」と批判し、信頼性への疑問が裏付けられた形だ。
このほか広告や研究者向けの情報公開などを巡っても問題があると指摘した。
DSAは偽情報などオンライン上の違法なコンテンツの排除をXを含むITプラットフォーマー企業に義務づけ、違反した場合に罰金を科す法律で2月に全面施行された。欧州委はこの暫定的な見解をXにも通告し、反論を受け付けるとともに改善を促す。対応次第でXは全世界の売り上げの最大6%の罰金が科される可能性がある。【ブリュッセル岡大介】
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