パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘を巡り、イスラエル軍は10日、ガザ地区最大都市ガザ市の全住民に避難命令を出した。イスラエル紙ハーレツによると、昨年10月以来、ガザ市の全住民に避難命令を出すのは初めて。イスラム組織ハマスの戦闘員が再編成をしているとし攻撃を強めている他、停戦交渉が続く中、ハマスに圧力をかける狙いがありそうだ。
ロイター通信によると、イスラエル軍はガザ市の2つの地域に侵入し、戦闘員を見つけるため、民家の捜索を実施。また住民らの目撃証言によると、軍の戦車が国連パレスチナ難民事業機関(UNRWA)の本部にとどまっているという。
これに対して、ハマスの幹部はAFP通信に、イスラエル軍の軍事作戦強化は人質解放での合意を狙ったものだと指摘した上で「それは逆効果となるだろう」と警告。ヨルダンのサファディ外相もエジプトの高官との会見で、ガザ市の避難命令は「ヨルダンとエジプトにとってレッドラインだ」と非難した。
一方、停戦交渉を巡っては、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は10日、仲介国のカタールで、イスラエル、エジプトの交渉団らと協議。米ニュースサイト「アクシオス」によると、バーンズ長官はバイデン米政権の外交政策の成果を上げるためにも、イスラエルとハマスの溝を埋めて詳細な交渉に移行することを望んでいるという。【エルサレム松岡大地】
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