米民主党のペロシ元下院議長=2024年6月19日、AP

 米民主党の重鎮であるペロシ元下院議長は10日、米MSNBCの番組に出演し、大統領選からの撤退を求める声が党内から出ているバイデン大統領(81)について、「選挙戦を続けるかどうかは大統領次第だ」と述べた。そのうえで「我々は皆、大統領に決断を促している。時間がなくなりつつあるからだ」と語った。選挙戦継続について明確な支持は表明しなかった。

 長年にわたって下院民主党を率いたペロシ氏は、指導部から身を引いた今も党内で大きな影響力を持っている。ペロシ氏は番組で、バイデン氏について「彼は愛され、尊敬されている」としたが、選挙戦を継続してほしいか聞かれると「彼がやると決めたことは何でもやってほしい」と答えるにとどめた。

 民主党内では6月下旬のテレビ討論会以降、バイデン氏の高齢不安が再燃し、選挙戦への懸念や撤退を求める声が一部から公然と上がっている。米紙ワシントン・ポストによると、10日夕段階で下院議員11人が撤退を求める立場を示しているという。

 一方、選挙戦継続に強い意欲を示すバイデン氏は、9日から北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に臨んでおり、最終日の11日には記者会見を開く。ペロシ氏は「私は皆に『先送りにしよう。どのような考えでも、内密に話すのはいいが、今週の情勢を見守るまでそれを表に出す必要はない』と言ってきた」と語り、記者会見などが終わるまで判断を先送りするよう同党の議員らに呼びかけていることをにじませた。

 ペロシ氏の「決断を促している」との発言を巡っては、ニューヨーク・タイムズ紙が「バイデン氏に選挙戦を継続するという決断を再考するよう示唆した」などと速報した。しかし、米CBSテレビによると、ペロシ氏は番組の後、取材に対して「私の発言に関していくつかの誤解がある」とし、「バイデン氏が決断を考え直すべきだとは一言も言っていない」と説明したという。【ワシントン西田進一郎】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。