ガーナのカカオ豆農家は、政府機関が公式買い取り価格(農家向け公定価格)を低く抑え、代金の支払いも遅れているため、高く買い取る密輸業者に売却せざるを得なくなっている。写真はカカオ豆農家の労働者。2月に撮影(2024年 ロイター/Francis Kokoroko)

ガーナのカカオ豆農家は、政府機関が公式買い取り価格(農家向け公定価格)を低く抑え、代金の支払いも遅れているため、高く買い取る密輸業者に売却せざるを得なくなっている。農家や当局者がロイターに語った。ガーナは世界第2位の生産国だが一段と状況が厳しくなる恐れがあるという。


 

チョコレートなどの原料となるカカオ豆の国際価格は今年初頭以降、高騰している。世界屈指の産地ガーナとコートジボワールで天候不順や病害による不作や、鉱物の違法採掘の影響で収穫が激減しているためだ。

国際価格は1年前の約2倍の水準で推移しているものの、ガーナ公定価格に反映されておらず、隣国トーゴを拠点とする密輸業者に有利な状況をもたらしているという。

ガーナのカカオ産業を管理する政府機関「ココボード」の東ボルタ・オティ地区責任者は「1月から今日まで、カカオ豆の等級付けが全くできていない。これは痛ましい事態だ」と述べた。

ココボードは先渡し契約でカカオ豆を売却し、その平均価格に基づいて生産者価格を設定する。今シーズンのカカオ豆が売却された時点では国際価格はずっと低い水準だった。このため足元の高い価格水準に合わせて生産者価格を引き上げると、ココボードが損失を甘受しなければならなくなる。

それでもココボードは4月、密輸業者への売却を阻止する狙いもあり、公定価格を約60%引き上げた。

だが現地のバイヤーによると、密輸業者はカカオ豆の品質にはほとんど関係なく公定価格の2倍超の価格提示をいとわないため、密輸業者には太刀打ちできないという。

ココボードの当局者はロイターに、ボルタ・オティ地区で生産されたカカオ豆は1月以降、公式免許を持つバイヤーには全く買い取られていないと話した。生産された全量が密輸業者に売却されたという。

関係者の話では、密輸業者は体制を強化している上、手口も高度化しており、トーゴを拠点とするレバノンや中国、フランス、ロシアなどの国籍の外国人が資金を提供したり組織を運営したりしているケースもある。



[ロイター]


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