11月の米大統領選で再選を目指す民主党のジョー・バイデン大統領(81)は8日、高齢不安を理由に撤退を求める同党の議員らに対して反転攻勢に出た。テレビ番組のインタビューでは「私が立候補すべきだと思わない人たちは、対抗して立候補すればいい」と主張。民主党議員らへの書簡では、自身が予備選・党員集会を通して正当に選ばれたと強調し、「自分たちの党の民主主義を無視して、どうして国家の民主主義を守れるのか」などと訴えた。
バイデン氏は8日朝のMSNBCテレビに電話で出演し、撤退を求める議員らを念頭に「民主党のエリートにはいらいらする」と語り、中西部イリノイ州シカゴで8月19日から22日に開かれる党全国大会に触れ、「立候補を表明し、(党候補を正式に指名する)党大会で私に挑戦しろ」と述べた。
また、民主党の議員らが地元から首都ワシントンに戻ってくるタイミングを狙い、同日朝に2ページの書簡を送付。バイデン氏がX(ツイッター)で公開した書簡によると、冒頭で「大統領選にとどまって最後まで戦い、ドナルド・トランプ(前大統領)を打ち負かす」と撤退論を否定。2020年大統領選でトランプ氏を破った実績を強調し、「トランプを打ち負かす最良の候補だという確信がなければ、再び出馬しない」と主張した。
さらに、党候補指名争いで87%の得票率で圧勝したことを挙げ、「民主党の候補を決めるのは、メディアや学者、大口献金者などではなく、有権者らだ」と指摘。党内の混乱はトランプ氏を利するとし、「今こそ団結し、トランプを打ち負かす時だ」と呼びかけた。
ただし、民主党内の動揺は収まっていない。米紙ワシントン・ポストによると、8日夕段階で9人の下院議員が撤退を求める立場を公表。その一人で下院軍事委員会の民主党トップであるアダム・スミス議員は8日、CNNテレビの番組で、「(バイデン氏は)身を引くべきだ。民主党のメッセージを伝えるのに最適な人物ではないことが明らかになった」と述べた。
バイデン氏は9~11日、北大西洋条約機構(NATO)首脳らを首都ワシントンに招く。首脳会議を開いたうえ、最終日の11日には記者会見を予定している。【ワシントン西田進一郎】
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