中国の習近平国家主席は8日、欧州連合(EU)の欧州理事会議長国を7月から務めるハンガリーのオルバン首相と北京で会談した。オルバン氏はEUで屈指の中露寄りの姿勢で知られ、習氏は今年5月にハンガリーを訪問して会談したばかり。中国はハンガリーを足がかりに欧州の結束を切り崩す狙いとみられる。
習氏は会談で、ロシアのウクライナ侵攻について「双方が対話と交渉を再開できるよう、国際社会は条件を整えるべきだ」と強調し、「中国とハンガリーは基本的な考え方と努力の方向が一致している」と秋波を送った。
オルバン氏は7月2日にウクライナのゼレンスキー大統領、5日にプーチン露大統領と相次いで会談した。訪中に際しても、ネット交流サービス(SNS)に「平和ミッション」と投稿するなど、和平に向けた外交だと強調している。
しかし、プーチン氏との会談に対しては「事前連絡なしに独断で実施した」などと、EU加盟国の一部やウクライナから強い反発の声が出ている。
中国国営中央テレビによると、オルバン氏から2カ国歴訪の話を聞いた習氏は「ウクライナ危機の政治的解決を促すための努力を評価する」と会談で称賛した。オルバン氏も「中国は建設的な提唱をしている」と応えたという。習氏は「EU議長国として中欧関係の安定した発展のため、積極的な役割を果たすことを期待する」とも述べた。
中国は今年5月、ウクライナ危機を政治的に解決するためとして、ブラジルと独自の提案を発表。ロシアに配慮し、6月にスイスで開催された「平和サミット」の出席は見送った。【北京・岡崎英遠】
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