11月の米大統領選から民主党のバイデン大統領(81)が撤退するかどうかを巡り、党内のせめぎ合いが激しくなっている。高齢不安の払拭(ふっしょく)を目指すバイデン氏は7日、東部ペンシルベニア州で演説し、擁護派の議員も駆けつけた。ただ、撤退を求める声も強まっており、党内の分裂が深まる懸念もある。
バイデン氏はこの日、大統領選の行方を左右する激戦州の一つのペンシルベニア州を訪れ、黒人が通う教会と労働組合の集会で演説した。「黒人票」と「労組票」はいずれもバイデン氏が強みを持つとされる層だ。自身の人気の高さを示し、撤退論をけん制する狙いもあったとみられる。労組の集会では、同州選出のフェターマン上院議員が応援演説し、バイデン氏への支持を求めた。
また、バイデン氏が接戦の各州で共和党のトランプ前大統領(78)を追い上げているとの最新の世論調査もある。ブルームバーグ通信は6日、7月上旬に激戦7州で実施した世論調査の結果を発表。7州全体の支持率で見ると、トランプ氏が47%、バイデン氏が45%で、昨年10月以降では最も小差だった。中西部のウィスコンシン、ミシガン両州ではバイデン氏がリードし、その他の5州はトランプ氏が先行していた。
一方、民主党内ではバイデン氏に撤退を求める意見が徐々に拡大している。米メディアによると、民主党下院トップのジェフリーズ議員が7日に幹部らと協議した際、4人が撤退を求めたという。米紙ワシントン・ポストによると、今回の4人を含め、これまでに下院議員計9人が撤退を求める考えを表明。撤退した場合の候補としては、ハリス副大統領(59)を推す声が出ている。
民主党は党大会を8月19~22日に開くが、これより前にオンラインで正式に候補者を指名する方針を明らかにしている。指名までに残された時間は限られるが、情勢は混沌(こんとん)としている。
バイデン氏は7月9~11日に首都ワシントンで開催される北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議に参加し、11日には記者会見も開く。12日以降も精力的に各地を回り、高齢不安の払拭を図る予定だ。【ワシントン松井聡】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。