フィリピンで市長を務める女性が中国人だった可能性が浮上し、「スパイ」疑惑が持ち上がっています。

疑惑が浮上しているのは、フィリピンの首都マニラ北部にあるバンバン市のアリス・グォ市長です。

現地メディアによりますと、グォ市長は出生や就学を証明するものがなく、2024年3月に警察に摘発された中国人向けオンラインカジノ施設の土地の半分を所有していたことから、中国とのつながりが疑われました。

マルコス大統領は「彼女がどこから来たのか分からない。市民権の問題がある」として捜査を指示し、現地当局は市長の指紋が別の中国人女性のものと一致したとして、「中国人の可能性が高い」と指摘しました。

市長が違法賭博に関与した疑いもあり、当局は実態解明を進めています。

このニュースについて、取材センター・立石修室長とともにくわしくお伝えします。

やはり中国のスパイということもあって、アジアだけでなく欧米でも話題になっています。

このアリス・グォ市長ですが、2022年に35歳という若さでマニラの北部にあるバンバン市の市長に当選しました。
養豚場で育ったということで、庶民派をアピールして人気を集めていました。

選挙活動中の映像では、集まった市民たちも熱狂的に声援を上げています。

ピンクがアリス市長のイメージカラーなんですが、ピンクのシャツを着た村人たちも熱狂的に追いかけたり声援を上げたりしていて、人気が非常にあったことが分かります。

しかし6月、現地当局がこのアリス市長の指紋を調べたところ、グォ・ファピン氏という別の中国人女性と一致したということです。

調査によりますと、このグォ・ファピン氏は中国の福建省生まれ。
2003年、13歳の時に特別投資家居住ビザでフィリピンに入国した中国人だということです。

その後、フィリピンの捜査当局は本物のアリス・グォ氏とされる女性の写真を公開しました。
アリス市長と比べると、明らかに顔が違っている印象です。

どこかの時点で中国人女性のグォ・ファピン氏が、このアリス・グォ氏にすり替わってしまった可能性が浮上しているということです。

――なぜスパイ疑惑まで持ち上がったのか?

それはこの疑惑が持ち上がった最初の事件にあります。

BBCによりますと2024年3月、フィリピン警察がバンバン市内にある大手のオンラインカジノを人身売買などの違法ビジネスの関連で摘発していました。
ですが、実は顧客の多くが中国人でした。

そして、カジノの土地の半分に加えて株式もアリス市長が所有していたことが判明し、身辺を調べる流れとなりました。

つまり、そこで市長が中国人であることが判明したということで、中国のスパイなんじゃないかという疑惑も浮上したといいます。

オンラインカジノというのが1つのポイントで、実はフィリピンには中国のお金持ちなどを相手にした「POGO」と呼ばれるオンラインカジノが多数あります。

これらは中国と親密だったドゥテルテ前大統領の時代に多く作られました。
中国との蜜月関係を象徴するようなものでした。

だからこそ、アリス市長と中国のつながりが今疑われています。

ただ、グォ市長は「私はスパイではありません。私はフィリピン人で国を愛している」と容疑を否認しています。

日本でも2023年、国の研究機関であるつくばにある「産業技術総合研究所」の情報漏えい事件があって、警視庁公安部がここに所属していた中国籍の研究員を逮捕しています。

日本の警察も、常に中国の工作員たちが日本国内で活動していることについては目を光らせているのが今の現状です。

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