イギリスでは4日に総選挙が行われます。前回、5年前の総選挙で「EU離脱」に期待を寄せた人々は今回、どう投票するのか。漁業の町の実情を取材しました。

まもなく投票が行われるイギリス総選挙。選挙戦ではスナク首相率いる与党・保守党が苦戦し、野党・労働党が大きくリード。14年ぶりの政権交代が現実味を帯びています。

前回、2019年の総選挙では、最大の争点となったのは「ブレグジット」、EUからの離脱でした。

保守党で、当時のジョンソン首相は“漁師の町”グリムズビーを訪問。

かつてはイギリス最大の漁港でしたが、漁師が激減、衰退の一途をたどりました。

長年の労働党の牙城だったこの町でジョンソン氏は、EU離脱を実現し、「主権を取り戻す」「イギリス近海から外国の漁船を追い出す」と主張しました。

保守党 ボリス・ジョンソン首相(当時)
「ブレグジットが成立すれば、この国は巨大産業の主導権を取り戻すことになる」

その結果、グリムズビーをはじめとする「労働党の壁」が崩れ、保守党が大勝したのです。

EU離脱からおよそ4年半。あの魚市場はどうなったのでしょうか。

記者
「こちらの魚市場では、フィッシュアンドチップスに使われるタラの競りが行われています。しかし、こちらのタラ、地元の漁師がとったものではないのです」

この日、競りにかけられた魚は、すべて輸入されたものでした。EU離脱後も近海での外国の漁船の操業は引き続き認められ、状況はあまり変わらなかったのです。

グリムズビーフィッシュマーケット マーティン・ボイヤーズCEO
「関係者なら誰でも、ジョンソン氏は口だけで実行しなかったとわかっています。水揚げは増えませんでした。漁業の復活なんてなかったんです」

水産加工業を営むロベットさんもEU離脱を支持しましたが、手続きが煩雑になるなど、ビジネスはむしろ大変になったと話します。

水産加工業 スティーブ・ロベットさん
「(EU離脱によって)流通の手続きが難しくなって影響を受けています。生鮮食品ですから、遅れは許されないというのに」

依然として良くならない経済状況を背景に、世論調査でもイギリス国民の6割近くが「EU離脱は間違いだった」と答えています。

こうした不満の受け皿の一角となり注目されているのが、ファラージ党首率いる右派政党「リフォームUK」です。

厳格な移民政策を掲げ、保守党支持層の取り込みを狙っていて、グリムズビーの選挙区では世論調査で2位につけています。

グリムズビーの有権者
「私はファラージ党首(リフォームUK)に投票すると思います。イギリスはイギリスであるべき、それが私の意見です」

総選挙では与党・保守党がどこまで議席を減らし、リフォームUKが獲得するのかも焦点です。

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