米連邦最高裁は1日、トランプ前大統領が2020年米大統領選の敗北を覆そうとした罪で起訴されている裁判を巡り、在職中の公的な行為について「免責特権」を認める判断を下した。2021年1月撮影(2024年 ロイター/Jim Bourg/File Photo)
米連邦最高裁は1日、トランプ前大統領が2020年米大統領選の敗北を覆そうとした罪で起訴されている裁判を巡り、在職中の公的な行為について「免責特権」を認める判断を下した。最高裁が大統領経験者に何らかの刑事免責を認めるのは初めて。
ただ、私的な行為については免責特権は適用されないとし、トランプ氏の行為の免責が適用される範囲を審理するよう下級審に差し戻した。
判決は6対3で、保守派判事全員が支持、リベラル派3人が反対した。
トランプ氏は20年の大統領選の結果を覆そうと企てたとして起訴され、21年1月6日の米国議会議事堂襲撃に関連した行為もこれに含まれる。
ワシントン連邦高裁は今年2月、大統領の任期終了後は「常に法を超越することは受け入れられない」として、大統領の免責特権が適用されるというトランプ氏の主張を退けた。これを受け、トランプ氏が最高裁に上訴していた。
最高裁の判断を受け、初公判は11月の大統領選前には開かれない可能性が高まった。返り咲きを目指すトランプ氏にとっては有利になる。
トランプ氏は最高裁の判断を歓迎。自身のソーシャルメディアに「われわれの憲法と民主主義のための大きな勝利だ。アメリカ人であることを誇りに思う」と投稿した。
ロバーツ最高裁長官は判決で、大統領は訴追を恐れることなく公正に職務を遂行する必要があるとし、「憲法上の核となる権限」については「絶対的」な免責が与えられると判断。「公務の外枠内の行為」については「少なくとも免責が推定される」とした。これは検察がこうした推定を覆すための法的ハードルが高いことを意味する。一方で「非公式の行為については免責はない」とした。
最高裁は起訴状に含まれるトランプ氏の4つの行為を分析し、そのうち選挙後の司法省当局者との会話については完全に免責されると判断した。
バイデン大統領の当選を議会で認定しないよう当時のペンス副大統領に圧力をかけたとされる行為に関しては免責が推定されるとしたが、下級審に審理を差し戻した。このほか認定手続きで自身を支持する偽の選挙人を集めたとされる行為と、議会襲撃事件に関連した行為についても下級審に差し戻した。
リベラル派のソトマイヨール判事は反対意見で、今回の判決によって大統領は政敵の暗殺を軍に指示したり、権力を維持するために軍事クーデターを起こしたりしても免責されることになるとし、「あらゆる公的権限の行使において、大統領は法を超越した王になった」と痛烈に批判した。
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