アメリカのトランプ前大統領が2020年の大統領選挙の結果を覆そうとしたとして起訴された事件に関連し、連邦最高裁はトランプ氏が主張する免責特権を一部認める判断を下しました。

 トランプ氏は2020年の大統領選の結果を覆そうと議会手続きを妨害しようとしたとして起訴されていますが、選挙の不正を防ぐために大統領として行った「公務の範囲内」で免責特権が認められると主張していました。

 連邦最高裁は1日、「大統領としての公的な行為については免責特権が認められる」との判断を示しました。

 ロバーツ裁判長は「大統領の公的行為が刑事訴追の対象となれば行政府の独立性が著しく損なわれる」と指摘しています。

 一方で、「大統領のすることすべてが公的なわけではない」とも指摘し、下級審に差し戻して起訴の対象となったトランプ氏の行為が公的なものにあたるかを判断させるとしています。

 下級審での判断はかなり時間を要するとも指摘されていて、公判の開始時期は一層遅れることになります。

 トランプ氏はSNSで「我々の憲法と民主主義にとって大きな勝利だ」と投稿しています。

 多数を占める保守派の判事6人全員が一部容認の立場ですが、リベラル派判事3人は反対しています。

 リベラル派の判事は「元大統領に免責を認める決定は、大統領職の精度を再構築するものだ」「法の上の立つ者はいないという憲法と統治の仕組みの根幹を愚弄(ぐろう)するものである」などと指摘し、強く反対しています。

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