英労働党のスターマー党首=ロンドンで2024年6月29日、ロイター

 4日の英国総選挙を前に、英国を代表する経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は6月30日、社説で異例ともいえる最大野党・労働党の支持を打ち出した。英紙サンデー・タイムズも同様に労働党を支持した。ロイター通信によると、両紙とも2005年の総選挙以降、労働党を支持してこなかったという。ともに中道または保守党寄りとみられていたが、英メディアの与党・保守党離れも鮮明になっている。

 FTは保守党の失政を批判し、「少なくとも1979年以降、これほど絶望的な状態に国政を放置した政権はなかった。公共サービスは崩壊しつつあり、国防力は消耗している。英国の地位は同盟国から見て低下した」と記した。そのうえで「労働党に政権運営のチャンスを」と訴えた。

 サンデー・タイムズも30日の社説で、労働党内の左派を追放して中道路線に戻したスターマー党首を「称賛に値する」と評した。一方、保守党のスナク首相とハント財務相の仕事ぶりは、安定を取り戻そうとした「まともな公務」と評価しつつ、結局は党を修復できなかったと指摘し、政権交代が「唯一の選択肢」と結論付けた。

 ロイター通信によると、他の有力紙ではガーディアンとデーリー・ミラーが労働党を支持している。一方、デーリー・テレグラフとデーリー・メールは保守党を擁護している。【ロンドン篠田航一】

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