欧州連合(EU)本部=ベルギー・ブリュッセル(ロイター)

【パリ=板東和正】欧州連合(EU)は17日、ブリュッセルで臨時首脳会議を開き、イスラエル本土への大規模攻撃を行ったイランに対して制裁を強化する方針で合意した。イスラエルがイスラム原理主義組織ハマスと交戦するパレスチナ自治区ガザでの戦闘に関し「即時停戦」を求めることでも一致した。先進7カ国(G7)外相会合も同日、イタリア南部カプリ島で開幕し、対イランへの追加制裁を討議。各国は中東安定化に向けた連携を強める。

臨時首脳会議は18日まで開催され、中東情勢やロシアによるウクライナ侵略への対応などを協議する。

EUは17日の会議を踏まえて声明を発表し、イランのイスラエルへの攻撃を「強く明確に非難する」と改めて強調。イランに全ての攻撃をやめるよう呼びかけた。イランの無人機やミサイルに関して制裁措置をとる方針を示した。

EUのミシェル大統領は17日、「イランを孤立させるためにあらゆることを行うことが非常に重要だ」と述べた。

イランへの制裁を巡っては、EUは昨年7月、ロシアのウクライナ侵略にイラン製の無人機が使用されているとして、無人機の製造に使われる部品のイランへの輸出を禁じる制裁措置を決定。EUのボレル外交安全保障上級代表が今月16日、制裁対象の兵器にミサイルを加える検討を開始する方針を示していた。

首脳会議では、ウクライナに対し、防空能力を強化する装備や弾薬・ミサイルの供与を迅速化する必要があるとの認識で一致した。ウクライナのゼレンスキー大統領は首脳会議でオンラインで演説し、イランがイスラエルに向けて発射した無人機やミサイルがほぼ撃墜されたことに触れ、「残念ながら、同じレベルの防衛(態勢)はウクライナにも欧州にもない」と指摘した。

G7外相会合でもイランの無人機やミサイルの生産に関与する組織や個人への制裁などが検討される。

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