米連邦最高裁=2024年2月14日、秋山信一撮影

 米連邦最高裁は26日、ネット交流サービス(SNS)運営企業に対して新型コロナウイルスや選挙などに関する偽情報や不適切とみられる投稿の削除を求めたバイデン政権の措置を容認する判断を示した。

 言論の自由を侵害する恐れがあるとして措置を制限するよう命じた地裁と控訴裁(高裁)の判決を覆した。共和党は「民主党がSNS運営企業に圧力をかけて保守派の声を封じている」と主張しているが、これが退けられた形だ。

 原告は、共和党が主導する中西部ミズーリ州と南部ルイジアナ州の司法長官、さらにSNSの個人利用者ら。X(ツイッター)やフェイスブックなどのSNS運営企業に対し、バイデン政権が公衆衛生や選挙に関する投稿を修正したり、削除したりするよう圧力をかけたのは、言論の自由を定めた合衆国憲法修正第1条に違反していると訴えた。

 最高裁は6対3に分かれた。多数派6人は、リベラル派判事3人全員と保守派判事6人のうちロバーツ長官を含む3人。少数派3人はいずれも保守派だった。

 最高裁は判断で、SNS運営企業にはコンテンツを規制する独立したインセンティブ(動機付け)があり、しばしば独自の判断を下していると指摘。米政府とSNS運営企業がやりとりしていた事実を基に、原告は損害をもたらした具体的なコンテンツ規制を指摘しておらず、「具体的かつ特定の損害」を十分に立証できていないなどとして原告の訴えを退けた。

 一方、アリート判事は、反対意見の中で「政府高官は数カ月にわたり、フェイスブックに容赦ない圧力をかけ、米国民の言論の自由を抑圧した」とし、今回の判決を「憲法修正第1条に対するこの重大な脅威への対処を不当に拒否している」と批判した。

 ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は声明で、最高裁の判断について「バイデン政権がテクノロジー企業と協力して米国民の安全と安心を守るための重要な活動を継続できることを保証するものだ」と歓迎。SNS運営企業について「自分たちのプラットフォームが米国民と米国の安全保障に与えている影響を考慮する重大な責任を負っている」と改めて指摘した。【ワシントン西田進一郎】

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