中国の蘇州市で24日午後、日本人学校から送迎中のスクールバスを待っていた日本人の親子が、男に刃物のようなもので切り付けられました。命に別状はありませんが、病院で治療を受けているそうです。

小学生の子を持つ日本人:「さすがに奥さんも、きょう外に出られないと言っていた。子どもも怖がっていて、外に行きたくないと。ちょっと怖い」

スクールバスの案内係をしていた中国人女性は重体です。男が、バスに乗り込もうとするのを阻止して、刺されたといいます。

小学生の子を持つ日本人:「いきなり知らない人が乗り込んできて、多分、子どもを守ろうとしてくれたのでしょうけど。お気の毒というか、いたたまれない」

日本国内だったら、歩いて通学するような距離でも、蘇州の日本人学校では、必ず、保護者か保護者に代わる成人が付き添って、バス停や学校まで送迎しなければいけません。

多くの日本企業が拠点を築く蘇州市は、中国本土で4番目に日本人が多い都市です。事件のあった高新区は『国家ハイテク産業開発区』として、高層ビルが建ち並びます。

バス停から歩いて行ける距離には、日本料理店がずらりと立ち並んでいて、中国の人からすると、日本に旅行した気分になれるということで、人気の場所になっているといいます。

一葉寿司・橋本真吾オーナーシェフ:「皆さんが怖がる気持ちもわかる。節度をもって生活している分には、そんなに危険なことに巻き込まれるという印象は、僕のなかではあまりない。これをきっかけに日中の仲が悪くなってしまったり、日本の方が中国は危ないとか、一方的な感じを持ってしまったら残念」

一方で、こんな声もあります。

近くに住む日本人:「変に日本人が飲み場で、日本語で大声でしゃべったりすると、そこに反応する人たちもいる。子どもに夏祭りで浴衣とか着せたりすると、目についたら良くないよねと、気を付けてはいる」

上海の日本総領事館によりますと、蘇州市では、今年1月、日本人の男性が中国人とみられる男性に刃物で刺される事件も起きています。事件の背景は不明で、中国の主要メディアは一切、報じていません。

今回の事件を受け、中国政府は、こう述べました。

中国外務省・毛寧副報道局長:「(Q.中国のメディアでは、ほとんど報道されていないが、日本人をターゲットにしたのか、無差別な攻撃なのか)事件については遺憾です。外国人の安全を確保するため、引き続き、しかるべき措置をとります。中国は世界が認める最も安全な国の1つです」

実は、外国人が襲われた事件は、2週間前にも起きています。10日、吉林省の公園で、アメリカの大学から派遣された教員ら5人が、男に刃物で刺されました。

この事件についても、質問が出ました。

中国外務省・毛寧副報道局長:「まだ調査中です。このような偶発的な事件は、世界中のどこでも起こりえます」

会見が終わるのを待っていたかのように、それまで、一切、今回の事件に触れていなかった中国の主要メディアが、概要だけ伝え始めました。

当局の発表によりますと、身柄を確保したのは52歳の男。別の地方から来たばかりで、無職だったといいます。

蘇州市の日本人学校は休校となりました。この事件の影響で、北京の日本人学校でも警備の強化を地元公安や警備会社に要請しているということです。

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