日銀が6月13―14日に開いた金融政策決定会合では、物価の上振れリスクが出てきているとして、次回会合に向けてもデータを注視し「目標実現の確度の高まりに応じて、遅きに失することなく、適時に金利を引き上げることが必要だ」との意見が出ていたことが明らかになった。写真は日銀本店。2017年9月に都内で撮影(2024年 ロイター/Toru Hanai)

日銀が13―14日に開いた金融政策決定会合では、物価の上振れリスクが出てきているとして、次回会合に向けてもデータを注視し「目標実現の確度の高まりに応じて、遅きに失することなく、適時に金利を引き上げることが必要だ」との意見が出ていたことが明らかになった。

国債買い入れ減額については、同会合で具体案を決めるよりも、市場参加者の見方を確認するプロセスを踏んだ方が「よりしっかりとした規模の削減ができる」との意見が出ていた。

日銀が24日、決定会合の「主な意見」を公表した。

<24年後半に向け「値上げの波が再来の可能性」>

追加利上げを巡っては、見通しに沿った物価の推移が続く中、「コストプッシュを背景とする第2ラウンドの価格転嫁によって物価が上振れる可能性もある」として、「リスクマネジメントの観点から金融緩和のさらなる調整の検討も必要だ」との意見も見られた。

一方で、利上げのタイミングは、消費者物価の明確な反転上昇や中長期の予想インフレ率の上振れなどを「経済指標で確認してからで良い」といった意見も出されていた。

個人消費が盛り上がりを欠く中、一部自動車メーカーの出荷停止という想定外の事態が続き、これらの影響も確認する必要があるとして「当面は現在の金融緩和継続が適当だ」との意見もあった。

物価については、賃金と物価の好循環が実現しつつあるが、名目賃金上昇率、予

想インフレ率、サービス価格上昇率などを踏まえると「基調的な物価上昇率はまだ2%に届いていない」との意見が出ていた。

半面、輸入物価の上昇について、現時点で2022年以降のような価格転嫁をもたらすとは考えにくいものの、価格を据え置くノルム(社会的な慣習)の転換もあり「従前より価格転嫁が進みやすく、2024年後半に向けて価格引き上げの波が再び生じる可能性もある」との指摘が出ていた。

為替相場の変動と金融政策運営については、金融政策は「為替の短期的な変動には左右されない」との声や「経済・物価情勢の全体像を見て運営しなければならない」との意見が見られた。

 

<国債買い入れ減額、「枠組みの作り方なども工夫」との声>

日銀は6月会合で、今後1―2年程度の国債買い入れ減額計画を次回の決定会合で決めることを決定した。

「よりしっかりとした規模」の削減に言及した委員は、イールドカーブ・コントロール(YCC)からの出口が円滑にできた経験も踏まえて、国債買い入れの削減も「削減額やペースのほか、枠組みの作り方などを工夫することで、市場の混乱を起こすことなく削減を行うことができる」と述べた。

国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で「相応の規模」の減額が適切だとの意見も見られた。

日銀は7月9―10日に債券市場参加者会合を開き、国債買い入れの運営について意見を聞く。決定会合では、国債市場で日銀が圧倒的に大きなプレーヤーであることなど大規模緩和の副作用が課題として残っているため「市場と対話しながら、適時適切に、日銀のバランスシートの正常化を進めていく必要がある」との意見が出された。

国債買い入れ減額の中期的な計画を策定して、その計画に沿って淡々と減額を行うことが望ましいが「減額の最適なペースなどを設定する必要があるため、市場との対話も含め、ある程度の時間をかけて慎重に検討すべきだ」との声もあった。買い入れの減額は開始時期や規模次第で経済を下押しし得るとして「市場と対話を図りつつ、経済情勢を点検してから徐々に進めることが必要だ」との指摘も見られた。

今後の国債保有構造のあり方を念頭に「中長期的観点から新たな市場構造を議論していく必要がある」との意見もあった。



[ロイター]


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