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<抗菌・防虫効果があり、香りが強い化学物質ピペリンを含む木の枝や皮を、インコが自身の羽に塗り付けている様子が確認された>
オーストラリアに生息するインコが、「ハイになる」ために刺激性の植物を利用している可能性があるとする新たな論文が発表された。専門誌「オーストラル・エコロジー」に掲載された論文によれば、ノーフォークアオハシインコという緑色の鳥が、噛み砕いた植物を羽にこすりつけているのが目撃されたという。
■【動画】臭い植物を体にこすりつけて「ハイ」になっている...インコの「不思議な行動」
こうした行動を取る理由として、まず考えられるのは「寄生虫を駆除する」ことだろう。だが科学者らは、植物から放出される匂いでインコがハイになっている可能性も示唆している。
「毛づくろいをするノーフォークアオハシインコ数羽が観察・撮影され、1組のペアが、コショウの木の側枝と樹皮の小片を噛みちぎり、それを羽に塗りつける様子も映像に収められた」と研究者らは説明している。
コショウの木には、抗菌・防虫効果のある強い香りの化学物質ピペリンが含まれることから、研究者らは、インコがダニなどの寄生虫を撃退しようとしている可能性を示唆している。
「これは、鳥が植物の成分を体に塗っている珍しい例と見られ、吸血昆虫や外部寄生虫、内部寄生虫を撃退し、健康を向上させる方法だと考えられる」と研究者らは記している。
インコのような鳥も快楽を追求している?
興味深いことに、インコは植物の成分を体に塗るのを楽しんでいるように見える。論文の著者でオーストラリア国立大学のペニー・オルセン名誉教授(生態学・進化学)は、この行動は、「蟻浴(ぎよく)」という別の行動と同じように、強い匂いでハイになるための方法である可能性があると、ニュースメディア「カンバセーション」に掲載した論文で主張している。
蟻浴は何世紀も前から観察されており、鳥がアリに自分の体を這わせたり、アリを体に乗せたりする。するとアリは、防御のために蟻酸という化学物質を放出する。蟻酸には抗菌・防虫効果もある。
オルセンの論文によると、1931年にある博物学者が蟻浴について「蟻酸は特に心地よい効果があるに違いない」と指摘している。1957年にはアメリカの鳥類学者が、自身が研究していた鳥が、蟻浴から「性的刺激を含む官能的な快楽を得ているようだ」と結論づけている。
ただ当時、この見解はすぐに否定され、蟻浴は「完全に機能的なもの」とされた。「しかし、本当にそうなのだろうか」とオルセンは疑問を呈している。
鳥類が精神に作用する物質を探し求める行動はほかにも
蟻浴のあとの快楽の状態は、カササギフエガラスなど他の鳥にも見られる。
鳥類が自然の中で精神に作用する物質を探し求めることが確認されたのは、今回が初めてではない。多くの種の鳥が発酵した果物を食べ、酔っぱらってよろめいたり止まり木から落ちたりしているのが目撃されている。
「緑色のインコが香りのする植物を羽にこすりつけるのと、酩酊したハトが木から落ちるのを同じように考えるのは、無理があるかもしれない。しかし、自然は進化的に有利な行動には報酬を与えるもので、多くの場合、動物の快楽中枢を利用していると見られる」とオルセンは述べている。
「快楽の追求というのは、動物の行動の重要な、しかし見過ごされがちな側面だ。ここに注目し、さらに研究を進める価値がある」
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