米連邦議会の上院(建物右側)と下院(左側)=2024年2月14日、秋山信一撮影

 米連邦上院軍事委員会は14日、2025会計年度(24年10月~25年9月)の国防権限法案の概要を公表した。日本とオーストラリアでインド太平洋軍司令部傘下の統合部隊の拠点を新設する計画の策定を求めるなど、インド太平洋地域の同盟国との連携強化策が盛り込まれた。

 米政府は、自衛隊の統合作戦司令部が25年3月までに新設されるのに合わせて、在日米軍司令部の機能拡充を含めて、指揮統制の連携強化策を検討している。上院の国防権限法案には、こうした検討を加速させる狙いもあるとみられる。

 法案は、インド太平洋地域の諸国に対して安全保障の支援を実施する多国間の枠組みの新設も提案した。日本、豪州、韓国を連携相手として挙げた。国防総省が有事に備えて後方支援態勢を強化する計画に日韓を加えることも提案。米国の核抑止戦略への理解を深める目的で、日韓豪の人材育成を支援する計画を立ち上げることも盛り込んだ。

 民主党のバイデン政権はインド太平洋地域で多国間協力の枠組みを強化してきたが、11月の大統領選で2国間関係を重視する共和党のトランプ前大統領が勝てば、多国間協力の機運がしぼむ可能性もある。上院は超党派で同盟強化の動きを支援しており、国防権限法案に具体的な取り組みを盛り込むことで、トランプ氏復権の「リスク」を軽減する狙いもあるとみられる。

 法案は上院本会議で審議された後、下院との折衝を経て一本化される。【ワシントン秋山信一】

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