米軍のHIMARS(2022年9月) Ints Kalnins-Reuters

<ウクライナ南部のロシア占領地域で行われたHIMARSによる攻撃。ロシア軍が甚大な被害を被った瞬間をドローンが撮影>

ウクライナ軍は、同国南部にあるロシア軍占領地域の森に身を潜めていたロシア軍の部隊を高機動ロケット砲システム(HIMARS)で攻撃し、複数の死者を含む甚大な被害を与えたと発表した。攻撃の様子は撮影されており、実際に兵士や車両などが集まっている場所で大きな爆発が起こり、生き延びた兵士たちが逃げ出す様子が捉えられている。

■【動画】身を潜めるロシア兵士たちを狙う容赦ないHIMARS攻撃...死者60人以上 攻撃の瞬間をウクライナ公開

ウクライナ軍特殊作戦部隊(SSO)はテレグラムへの投稿の中で、「第73海上特殊作戦部隊のドローン(無人航空機)要員が南部方面で偵察を行っていたところ、ロシア軍の兵士らが集まっている場所を見つけた」と述べ、攻撃の様子を撮影した動画を共有した。

投稿はさらに「SSOはロシア軍の兵士らが集結していた南の区域を狙ってHIMARSで攻撃を行った」と続けた。「この攻撃の結果、ロシア軍は甚大な損失を被った」

アメリカからHIMARSの供与を受けたことで、ウクライナはロシア軍の最新鋭対空ミサイルシステムを破壊することができるようになった。HIMARSは3年目に突入しているウクライナとロシアとの戦闘において、広く使用されてきた。戦闘開始以降、アメリカ政府はウクライナに少なくとも39基のHIMARSを供与している。

昨年にはHIMARSがロシア軍大隊を攻撃した時の動画も

SSOが共有した動画には、爆発の後に分厚い黒い煙が立ち上る様子が映っている。ウクライナ国防省も同じ動画をX(旧ツイッター)上で共有し、「HIMARSが南部の占領者たちに挨拶した際の様子」という言葉を添えた。

本誌はこの動画の撮影時期や場所について独自に確認を取ることができず、ロシア国防省にメールでコメントを求めたがこれまでに返答はない。

ウクライナ軍はこれまで幾度にもわたって、HIMARSでロシア軍の部隊を攻撃してきたと報じられている。2023年10月には、HIMARSがロシア軍の大隊を攻撃した後の様子を撮影したとされる動画が公開された。

オープンソース・インテリジェンスを活用したウクライナのウェブサイト「DeepState」は今回の攻撃について、ロシア軍の占領下にあるウクライナ南部ヘルソン州のポド・カリニウカ村近郊の訓練場を標的としたものだと分析した。英BBCのロシア語サービスもウクライナ軍特殊部隊の関係者から得た情報を引用し、同訓練場を狙った攻撃が行われたと報じた。

今回のHIMARS攻撃で少なくともロシア兵60人が死亡か

ウクライナの新聞「Zerkalo Nedeli」は、この攻撃でロシア軍の兵士少なくとも60人が死亡したと報じた。

またウクライナ南部オデーサの軍当局報道官セルヒー・ブラチュクによれば、これとは別にウクライナ軍がHIMARSを使用して東部ドネツク州ヴォルノヴァーハ近郊にあるロシア軍の訓練場を攻撃していたという。

ブラチュクは2月にテレグラムへの投稿の中で、この攻撃によりロシア軍第39独立自動車化狙撃旅団の兵士らが駐留していたトルディフスケ村付近で約65人のロシア兵が死亡したと述べた。BBCロシア語サービスも当時、ウクライナ軍がミサイル2発によりこの地域で攻撃を行ったと報じていた。

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